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ナイルJP:5618
事業内容
ナイルは、産業のデジタル化(DX)とデジタルマーケティングを軸に事業を展開し、企業の業務効率化や販促支援を行っている企業です。同社はデジタル戦略のコンサルティングや生成AIを使った業務自動化、メディア開発・運営、デジタル広告のソリューションを提供しています。
顧客は製造、小売、サービスなど幅広い業種の企業で、これまで2,000社超の支援実績があります。同社の収益はコンサルティング料やメディア掲載・広告手数料に加え、自動車サブスクリプション事業における初期紹介手数料(スポット収益)と月額の継続収益が柱になっています。
事業は大きくホリゾンタルDX事業と自動車産業DX事業の二つに分かれています。ホリゾンタルDX事業ではDX&マーケティングの実行支援やアプリ情報メディア「アプリブ」などのメディア運営、広告配信効率化サービス「NYLE TRIDE」を通じて顧客の成長を支援し、自動車産業DX事業ではオンライン完結のサブスクリプション「おトクにマイカー 定額カルモくん」によるアセットライトな運営と月額課金で長期収益を図っています。
経営方針
同社はデジタルトランスフォーメーション(DX)とデジタルマーケティングを軸に、事業規模と収益性の両面での成長を目指しています。国内自動車販売市場は年間約632万台、関連市場を含め約25兆円、国内DX市場は約4.2兆円と見込まれる大きな追い風の中で、ホリゾンタルDX事業と自動車産業DX事業の二本柱で成長を図っています。KPIとしてはホリゾンタル事業の顧客継続率が93.16%(2024年)と高水準である一方、自動車事業ではカスタマーチャーン率が0.22%、契約残高は6,250百万円、延べ申込件数は29.2万件(いずれも2024年実績)といった数値を重視し、売上と契約件数の累積拡大を通じた中長期的な収益化を図っています。
重点投資分野は顧客獲得のための広告宣伝や採用・育成、情報管理体制の強化に置かれています。同社は広告投資や顧客獲得コストを先行投資として実行し、獲得効率の改善をモニタリングしながら規律ある投資配分で収益性を高める方針です。また、他社と差別化するために、デジタル戦略コンサルティングの深耕、自社メディアの強化、生成AIを用いた業務自動化などを組み合わせて「模倣しにくい」サービスを提供しており、車の保険や修理保証、買取といった周辺サービスのオンライン化で利便性と経済性を訴求しています。
新市場開拓と事業拡大では、与信力の低い層にも車を提供できる商品ラインナップの拡充や、オンライン主体の「定額カルモくん」とオフライン販売を担う連結子会社パティオの販売力を組み合わせたグループシナジー創出を進めています。具体的には、顧客属性別の商品設計や広告ターゲティングの最適化で広告費対効果を引き上げ、契約残高や延べ申込件数の増加を通じてストック収益を拡大する計画です。こうした取り組みにより、累積契約数が増えることで将来的な黒字化とキャッシュ・フロー改善を目指しています。
技術革新への取り組みでは、生成AI(文章や作業を自動化する技術)を業務自動化に組み込み、コンサルティングや広告配信の効率化、自社メディアのコンテンツ拡充を進めています。併せて情報セキュリティ規程の整備やシステム投資、人材採用・研修を強化することで、機密情報の保護とDX実行力の両方を高める方針です。これらの具体施策により、同社は顧客継続率や契約獲得効率といった定量指標を改善しつつ、長期的な事業価値の向上を図っています。