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グリッドJP:5582
事業内容
グリッドは社会インフラ分野向けに、AIを使った「計画最適化」ソリューションを提供しています。同社は現場業務を数式で再現するシミュレータと独自のAIエンジンを開発し、計画立案からシステム実装、運用・保守まで一貫して手掛けています。
主要顧客は電力会社や物流・製造、都市交通を担う大手企業が中心で、導入効果が見えやすい案件を多く獲得しています。同社はコンサルティングや開発費に加えて、クラウド型アプリや運用サポートで継続的な収益を得るビジネスモデルを構築し、顧客生涯価値の最大化を図っています。
事業は電力・エネルギー、物流・サプライチェーン、都市交通・スマートシティの三分野に注力しており、それぞれに応じたアプリケーションを展開しています。具体的には需給計画や配船計画、サプライチェーン最適化、鉄道の運行・修繕計画向けの製品群を用意し、汎用的なシミュレータ基盤で導入を短縮しています。
技術面では機械学習や強化学習と数理最適化を組み合わせるアプローチを採用し、現場出身の技術者を育成することで実運用に耐える体制を整えています。同社は投資対効果の明確化とCO2削減効果を訴求点に、大手顧客との長期契約を通じて安定収益の拡大を目指しています。
経営方針
同社は売上高成長率と営業利益率を経営の主要指標とし、フリー・キャッシュ・フローの拡大を通じて企業価値向上を目指しています。成長機会としては国内のAIシステム市場が2024年に約1兆3,412億円、年平均成長率25.6%で2029年に約4兆1,873億円に達するとの予測や、物流DX市場が2030年に約1.2兆円に成長する見込み、さらに政府のグリーン成長戦略により2030年に約140兆円、2050年に約290兆円の経済効果が期待される点を重視しています。こうした市場拡大を背景に、同社は持続的な収益拡大を目指しています。
重点投資分野は電力・エネルギー、物流・サプライチェーン、都市交通・スマートシティの三領域で、計画立案に特化した最適化技術の強化に投資しています。具体的には現場業務を数式で再現するシミュレータ基盤と独自のAIエンジンによる一貫提供、業界別アプリ群(ReNom APPS)やAI開発の半自動化ツール、材料開発など周辺領域への研究開発を進めています。これにより、導入の短縮化・高付加価値化を図り、運用・保守を中心としたストック型売上の比率を高めることで競合との差別化を図っています。
新市場開拓では顧客基盤の拡大と既存顧客内での横展開を重視しており、一顧客に対するアップセル・クロスセルで顧客生涯価値を高める方針です。具体施策としてコンサルティング営業人材の採用強化、プル型(プレスリリース、ウェビナー、展示会)とプッシュ型の組合せによる営業展開、業界特化アプリの投入で導入対象を拡大します。これらにより契約継続率を高め、ストック収入の拡大を通じて安定収益基盤を構築することを目指しています。
技術革新への取り組みとしては、機械学習や強化学習と数理最適化を組み合わせたアルゴリズム開発を継続するとともに、2017年から進める量子アルゴリズムの研究で複数の特許を出願するなど先端技術への投資を継続しています。加えて開発プロセスの改善、人材育成、情報セキュリティや内部管理体制の強化にも注力し、実運用に耐える体制を整備しています。最終的には顧客の計画最適化による燃料削減やCO2排出削減を訴求ポイントに、社会的価値と経済的効果の両面で成果を出すことを目指しています。