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ダイトJP:4577
事業内容
ダイトは、医薬品の原薬(医薬品原料)と製剤(処方薬・市販薬)の製造販売を主力に、製造受託や健康食品などの販売も手がける製薬企業です。同社は原薬から最終製剤まで一貫して生産できる体制を整え、多様な医薬品ニーズに応えています。
主要な顧客は国内外の医薬品メーカーやジェネリックメーカー、大手製薬企業で、製品販売と製造受託が収益の中心になっています。同社は自社開発品の供給に加え、他社との共同開発や販売力のある企業との連携で販路を拡大し、輸出支援や現地子会社を通じた海外展開も行っています。
事業は大きく①原薬の製造販売、②医療用・一般用の製剤の製造販売および製造受託、③健康食品や医薬関連商品の販売に分かれます。同社は日本のGMPに加え米国や欧州の基準にも対応する品質管理を備え、量産から少量多品種生産まで柔軟に対応できる生産設備と海外拠点で事業を支えています。
経営方針
同社は中期経営計画「DTP2027(Daito Transformation Plan 2027)」の下で、業績改善と企業価値の向上を目指しています。具体的には、2026年5月期の連結業績予想として売上高525億円、営業利益30億円、経常利益30億円、親会社株主に帰属する当期純利益23億円を掲げており、KGIやKPIを設定してROICやROEなど資本生産性の向上を図る方針です。株主還元面では、2025年に自社株30万株を取得・消却したほか、2026年期に向けて配当の引上げと株主優待の導入を決めており、PBR1倍割れ対策と資本配分の高度化にも取り組んでいます。
重点投資分野としては既存事業の効率化と高付加価値品へのシフト、中国事業の強化、新規事業への参入、人的資本への投資を柱にしています。2024年9月に設置したポートフォリオマネジメント部が製品の「選択と集中」を進め、販売と生産を合わせた需給計画プロセスを導入して生産効率と在庫削減を狙います。また、2025年6月から明治製菓ファルマとの「新・コンソーシアム構想」による品目統合や生産拠点の集約を協議し、規模の経済と安定供給力の向上を目指しています。これらにより空いた生産キャパシティで高収益品目を拡大する計画です。
海外展開では中国市場を重要な成長領域と位置づけ、15年にわたる現地出資・連携で築いた「日本品質・中国コスト」の強みを活用しています。子会社が2025年5月に自社ジェネリック製剤(プレガバリンカプセル)を中国向けに初出荷して以降、追加受注を得ており、2027年5月期までに中国国内向けジェネリック約11成分の受託製造を検討中です。並行して現地販売体制の強化や承認申請の推進を進め、グループ内での収益の柱化を図っています。
技術革新と品質向上にも注力しており、原薬から製剤までの一貫生産体制と米国FDA査察を継続的にクリアする品質管理力を差別化要因としています。新規領域では希少疾患向け医薬(オーファンドラッグ)の開発・受託に参入し、ノーベルファーマとの協定に基づき多系統萎縮症を対象としたユビキノール含有製剤「NPC-29」の開発基本契約を締結するなど、日米欧を視野に入れた開発を進めています。加えて従業員教育に対する投資(富山での賃上げ、eラーニング「Daito Learning」、エンゲージメント調査等)を通じて技術力と運用品質の底上げを図っています。