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SansanJP:4443
事業内容
Sansanは、名刺や請求書などのアナログな接点情報をデータ化して企業の営業や経理の業務改革につなげるクラウドサービスを提供する会社です。主力は企業向けの営業DXサービス「Sansan」と経理DXサービス「Bill One」、個人向けの名刺アプリ「Eight」で、テクノロジーと人手によるデータ化を組み合わせて精度の高いデータベースを作っています。
同社の主要顧客は法人で、大企業から中堅・中小企業まで幅広く導入されています。収益はライセンスや月額利用料を中心に、導入支援やスキャン代行、請求書のデータ化枚数に応じた課金、さらに個人向けプレミアムや企業向けイベント出展料など複数の収入源で構成されています。
事業は大きくSansan/Bill One事業とEight事業の二つに分かれています。Sansan/Bill One事業は接点情報の一元管理や請求書業務の効率化を通じて組織の売上拡大とコスト削減を目指し、Eight事業は個人の名刺管理を軸にプレミアム機能や法人向けチームサービス、イベント連動のビジネスを展開しています。
経営方針
同社は中期的に売上高の堅調な拡大と利益率の改善を目指しています。2025年5月期から2027年5月期の期間では売上高の年平均成長率(CAGR)22%〜27%を目標とし、調整後営業利益率を2027年5月期に18〜23%まで高めることを掲げています。収益モデルは月額課金を中心とした継続収入型で、直近12か月の月次解約率は1%未満に抑えられており、顧客維持による安定した成長を前提にしています。
重点投資は製品開発と営業・導入支援、人材採用に置かれています。特に「Sansan」「Bill One」「Contract One」では生成型の人工知能を活用した機能強化やワンパッケージでの提供により顧客の業務効率を高め、顧客あたりの売上を伸ばす戦略を取っています。加えて同社の差別化要因はアナログ情報を高精度にデータ化する仕組みで、99.9%のデータ化精度を維持するための機械学習と人手の組合せを強化している点が競争優位となっています。現在、名刺管理市場で「Sansan」は売上シェア84.1%、請求書受領サービスで「Bill One」は47.0%のシェアを持っています。
新市場開拓と事業拡大については、国内での浸透余地が大きい点を最大限に活用する計画です。例えば、Sansanの法人利用者は国内労働人口比で2025年時点で約4%に留まっており、Bill Oneの企業カバー率も1%未満と推定されるため、全社導入の促進や既存顧客への利用拡大、業務範囲の拡充で顧客基盤を深掘りします。また、個人向け「Eight」の登録者409万人のネットワークを使ったイベントや法人向けサービスのマネタイズ強化、さらにはシナジー創出を狙ったM&Aの積極的な活用も計画しています。
技術革新への取り組みは経営戦略の中核です。同社はこれまで蓄積した膨大な名刺や請求書データを基盤に、独自の機械学習や生成型AIを導入してオペレーション効率を高めるとともに、データ化精度の維持・向上に継続投資しています。併せて情報セキュリティ体制の強化や国内外の優秀な技術者採用を進め、研究開発と運用のモニタリングを通じてサービス品質と安全性を高めることを目指しています。