- 日本企業
- GMOコマース
GMOコマースJP:410A
事業内容
GMOコマースは、店舗向けのCX(顧客体験)向上ソリューションを主軸に、店舗のデジタル化と顧客接点の最適化を支援しています。同社はLINEやInstagramを活用した販促支援やCRM・マーケティングオートメーションを中心としたプラットフォームを展開し、店舗の集客や売上改善を目指しています。2024年12月時点で月額固定で約15,370店舗にサービスを提供しています。
主要顧客は小売、飲食、アパレル、エンターテインメントなどの中小規模店舗から大手チェーンまで幅広く、DX推進ニーズがある店舗事業者を中心にしています。収益構造は月額のストック収益が約70%、配信数等に応じたトランザクション収益が約10%、広告運用手数料や都度のコンサル費用などのその他収益が約20%(2024年度実績)を占めています。
事業は単一セグメントのCX向上ソリューションで、主な製品は「GMOマーケティングDX」シリーズと統合型プラットフォームの「GMOマーケティングコネクト」です。同社はLINE公式アカウントの導入・運用支援やセグメント配信オプション、Instagram運用とDM配信、広告運用代行を組み合わせ、データ統合やAIによるパーソナライズ、複数チャネルの一元管理で顧客企業の長期的なマーケティング改善を支援しています。
経営方針
同社は店舗向けの顧客体験(CX)向上ソリューションを軸に、持続的な成長を目指しています。現在は月額固定で約15,370店舗(2024年12月時点)にサービスを提供しており、経営指標として顧客数、1顧客当たり売上(ARPU)、継続率の改善を重視しています。直近の継続率は約86%であり、収益構造は月額のストック収入が約70%、配信等のトランザクション収入が約10%、広告運用手数料などが約20%(2024年度実績)を占めています。市場規模を踏まえ、同社は国内の対象市場約9,680億円を狙い、現在の獲得可能市場(約250億円)を拡大していくことを目標としています。
同社は既存顧客の深掘りと新規顧客獲得の両面に重点投資を行っています。具体的には既存顧客へのアップセル・クロスセルを進めるためにカスタマーサクセス強化や専任サポート体制を整備し、営業人員の増員や代理店チャネルの拡大、グループ内の連携による販路開拓を進めています。導入・運用支援を含む伴走型のサポートで、デジタル運用に不慣れな小規模店舗でも効果が出るようにし、競合他社との差別化は「店舗単位での手厚い支援」と「10年以上の運用データに基づくノウハウ」の両面で図っています。
同社は新たな収益源として店舗間の相互集客を可能にするリテールメディアプラットフォームの開発を推進しています。保有する顧客基盤と2024年実績で約27億通の配信実績を活用し、店舗が他店舗の顧客に対してターゲティング配信できる仕組みを作ることで、広告掲載による還元モデルや新たな取引先の開拓を目指しています。ユースケースとして近隣店への誘導など具体的な送客シナリオを想定しており、アプリ、メール、店舗内サイネージなど新チャネルへの対応も進めることで市場カバー率を高めようとしています。
同社は技術革新を成長の原動力と位置づけ、AI(人工知能)と顧客データの活用を強化しています。個人情報保護の強化を受けてファーストパーティデータやゼロパーティデータの収集・活用に注力し、約15,000店舗のデータを使った嗜好解析で配信のパーソナライズを実現します。さらにAIアシスタントとエージェントを組み合わせた自動運用で業務効率を高める計画で、外部研究では複数チャネル併用でコンバージョンが大きく改善した事例や顧客獲得コストの削減、広告投資対効果の向上が指摘されています。同社はこれらの技術投資と情報セキュリティ、人材育成を並行して進め、サービスの高度化と収益基盤の強化を図っています。