プログレス・テクノロジーズ グループJP:339A

時価総額
¥86.5億
PER
7.8倍
設計開発領域に特化した製造業向けデジタルソリューションの有力企業。設計プロセスDX支援やデジタルツイン、9軸アクチュエータ搭載ドライビングシミュレータを展開。2024年2月期よりデジタルツイン事業を開始。国内中心で展開。

事業内容

プログレス・テクノロジーズ グループは、製造業の設計開発領域に特化してデジタル化を支援する企業グループです。同社は設計プロセスの改善を軸に、コンサルティング、設計ツールの導入・定着支援、受託プロジェクトやエンジニア派遣、さらにバーチャルテストを含むシミュレーションサービスまでワンストップで手掛けています。上流工程に注力することで品質・コスト・納期の改善と新たな価値創出を狙っています。

主要な顧客は自動車メーカーやそのサプライヤーを中心とする製造業で、製品要求の高度化や開発人員不足といったニーズが強く出ています。同社はコンサルやツール導入、プロジェクト請負を中心に収益を得ており、エンジニア派遣による安定した収入基盤も持っています。デジタルツイン事業は現状で連結業績に占める比率は小さいものの、成長の柱として拡大を目指しています。

事業は大きく「ソリューション事業」「デジタルツイン事業」「エンジニアリング事業」の三つに分かれます。ソリューション事業は設計方法の構築からツール導入、運用定着やプロジェクト受託までを含み、デジタルツイン事業は高性能なシミュレータや高度なモデルを使ったバーチャルテストで前倒しの検証を行います。エンジニアリング事業はメカ・電気・ソフトの技術者を顧客プロジェクトに送り込み、開発リソースや技術課題の解決を支援しています。

経営方針

同社は設計開発の上流工程に特化することで、付加価値の高いソリューション比率を引き上げることを成長戦略の中核に据えています。具体的には「ソリューション比率」を重要なKPIとし、2024年2月期の50.0%から2025年2月期に52.9%へ上昇させ、デジタルツイン事業を含めた比率も51.7%から55.8%へ高めています。国内の製造DX市場は2030年度に約9,060億円まで拡大が見込まれており、日本の製造業(市場規模121兆円、GDP比20.6%)のデジタル化需要を取り込むことで、同社は安定的な売上・収益拡大を目指しています。

重点投資分野は、同社が定義する「ニアコア技術」であるデジタルツイン、xILS(モデルやソフト・ハードを使ったループ検証)、AI、UX、RPAの五領域です。これらは設計段階での検証や設計業務の自動化・効率化に直結する技術で、同社は技術レベルの向上とスペシャリスト育成に投資しています。差別化戦略としては、設計現場に精通したコンサルタントと技術者が部門横断でワンストップに対応する体制を構築し、ソリューションアーキテクトやプロジェクトマネジャーを配置して、単発のツール導入に留まらない現場定着まで伴走する点を強みにしています。

新市場開拓と事業拡大では、自動車で蓄積したノウハウを半導体、精密機器、医療、重工業へ水平展開することで顧客基盤を広げる計画です。人材面では新卒採用を年間80~100名程度継続し、加えてエンジニアリング事業からソリューション事業へ年間50~70名程度のグループ内異動を行うことで、プロジェクト遂行力を確保します。営業面では既存顧客の取引深耕と新規獲得を両輪に、デジタルツイン等の成長領域を柱に収益構造の高度化を図っています。

技術革新への取り組みは、現場知見の蓄積とそれを横展開する仕組み作りに重点を置いています。具体的には、専門領域ごとの教育・評価制度の見直しや入社後6年を想定したキャリア形成、報酬や福利厚生の改善による定着支援を通じてスペシャリストを育成します。また、バーチャルテストやシミュレーションを活用して設計段階で不具合を減らしリードタイムを短縮することで、品質・コスト・納期の改善を実現し、連結売上成長率や営業利益率、ソリューション比率といった指標で成果を検証していく方針です。