アルピコホールディングスJP:297A

時価総額
¥154.3億
PER
8.9倍
総合生活サービス事業の有力企業。デリシア51店舗と業務スーパー・ユーパレット9店舗の計60店舗など食料品流通を展開。2022年4月にマックドラッグを傘下に置き医薬品販売事業を立ち上げ。長野県内を中心にバス・鉄道・タクシー・ホテル事業を展開。

事業内容

アルピコホールディングスは、持株会社として子会社の経営管理を行いながら、食品小売、運輸、観光、不動産、保険など地域密着型の事業をグループで展開しています。主力は長野県で展開する食品スーパー「デリシア」や業務用中心の「業務スーパー・ユーパレット」、バス・鉄道・タクシーといった移動サービス、ホテルや旅行商品などの観光関連事業です。

同社の主要な顧客は長野県内の一般消費者と観光客で、地元住民向けの食品販売と観光・交通の利用が売上の中心になっています。流通事業は店舗での小売収入、運輸事業は高速バスや観光路線の運賃収入、観光・宿泊は宿泊料や旅行商品の販売、不動産は賃料収入、保険は保険料収入という具合に複数の柱で収益を確保しています。

事業の内訳は明確で、流通は「デリシア」の品質重視型店舗と「業務スーパー・ユーパレット」の低価格大量販売という二本立てでマルチチャネル化(移動販売やネット宅配、無人決済店など)を進めています。運輸は高速バス(新宿系統が高速バス売上の大きな割合を占める)、観光路線バス、上高地線の鉄道、タクシー及び整備事業を、観光はシティ・ビジネス・リゾートのホテル運営、サービスエリア運営、旅行商品、レジャー施設運営を行っています。さらに不動産での賃貸や別荘地管理、保険販売などで地域需要に応えています。

経営方針

アルピコホールディングスは持株会社として、長期ビジョン「ALPICO VISION 2035」と中期経営計画(2024〜2026年)を掲げ、地域密着型の複数事業で持続的成長を目指しています。中期計画期間中はM&Aの推進や事業エリアの深耕・拡大、新規事業の創出を成長の主軸と位置づけており、2035年に向けて「楽しさ・ときめき」を創出して付加価値を高め、地域の発展に貢献することを目標としています。具体的には2024〜2026年の3年間で事業基盤を強化し、グループ全体の収益拡大と事業多角化を図る計画です。

重点投資分野は流通、運輸、観光、不動産、保険の5分野で、既存の強みを生かした差別化を進めています。流通では「デリシア」と「業務スーパー・ユーパレット」の二本立てで価格戦略の見直しや会員サービス強化を行い、ピコカプラスカードのアプリ化で顧客接点を強化します。運輸・観光では上高地や白馬などインバウンド需要が見込める路線で高付加価値化を進める一方、採算悪化路線の見直しや行政への補助要請も実施します。同社は地域特性を生かしながら、施設改装やサービス向上で競合と差別化することを目指しています。

新市場開拓と事業拡大では、M&Aによる外延的な成長と既存エリアの深耕を両輪で進めます。小売りでは移動販売、ネット宅配、無人決済店舗などのマルチチャネル化を推進し、運輸・タクシー事業では配車アプリ導入やエリア間での相互応援勤務を活用して需要に柔軟に応えます。また、不動産の別荘管理では若年層のアウトドアニーズ開拓や地域連携による観光振興にも取り組み、地域価値の共創を目指しています。同社はM&Aと現地密着型の施策により、新たな顧客層と収益源の開拓を目指しています。

技術革新への取り組みとしては業務効率化と省人化を具体施策に組み込んでいます。流通分野でのAIを使った客数・需要予測型の自動発注システム導入や本部業務のデジタル化(DX)による固定作業削減を進め、運輸では配車アプリや運行管理の最適化で稼働率向上を図ります。これらは人手不足や労働時間規制への対応でもあり、エネルギーや物流コストの高騰に対するコスト抑制にも寄与します。同社は中期計画期間中にこれらの技術投資を加速させ、生産性向上とサービス品質の両立を目指しています。