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テクニスコJP:2962
事業内容
テクニスコは精密加工部品の設計・製造・販売を行う企業で、主力は電子機器向けのヒートシンク製品や微細加工を施したガラス製品などです。同社は高出力レーザーや通信デバイス、モバイル機器や医療機器向けの部品を中心に、性能向上や小型化に貢献する高機能部材を手掛けています。
同社の顧客は産業機器、自動車、光・無線通信、ライフサイエンス、航空宇宙、環境エネルギー分野と幅広く、顧客ごとの仕様に合わせた受注生産が売上の主軸です。海外販売は約半分を占め、欧州の半導体レーザー向けや米国のライフサイエンス向けが主要市場となっています。
事業は単一セグメントの中で「ヒートシンク製品」「ガラス製品」「その他(各種金属・シリコン・セラミックの微細加工や加工用ダイヤ工具)」といった製品群で構成されています。独自の「クロスエッジ®Technology」により切断・削り・磨き・金属膜形成・接合といった複数工程を組み合わせ、高機能素材(例:銅/窒化アルミニウム/銅の複合材や銀とダイヤの複合素材)を使った製品開発・量産にも注力しています。
経営方針
同社は「VISION 2030」を掲げ、2029年度末(2030年6月期)を到達点として、景気の波に左右されない着実な成長モデルの構築を目指しています。具体的には受託加工中心のビジネスモデルから「何を作るか(WHAT)」を重視する自社素材・自社製品の開発・量産へと並列転換し、売上総利益率の向上と経常利益の拡大を経営目標に据えています。なお直近では営業損失1,443,128千円、経常損失1,629,152千円、親会社株主に帰属する当期純損失2,976,832千円を計上しており、同社は資金確保や取引先との協議を通じて財務基盤の安定化を図りながら中期目標の実現を目指しています。
同社は重点投資分野として高性能ヒートシンク材料と高信頼性ガラス製品の研究開発に注力しています。ヒートシンクでは窒化アルミニウムや銅タングステンに加え、シリコンカーバイドなど新素材の活用や、銀とダイヤモンドを原材料とする「シルバーダイヤ」の量産開発を進めており、同製品は従来比で熱伝導が約2〜2.5倍に達する性能を想定しています。差別化戦略は、切断・削り・磨き・金属膜形成・接合を組み合わせた独自の「クロスエッジ®Technology」を核に、顧客の研究開発担当者と直接対話して課題解決型の提案を行う点にあります。
同社は新市場開拓として半導体、自動車(自動運転センサー等)、ライフサイエンス(医療用チップ等)、データセンターや高性能演算向けなどの用途拡大を図っています。半導体市場は2030年に約100兆円に達するとの見通しも踏まえ、日米欧の主要メーカーとの関係強化や新規顧客開拓で中国市場の減速影響を補完していく計画です。また、データセンター向けサーバーや高出力レーザー、通信機器向けRF増幅器、X線装置など、具体的な用途を想定して量産ラインと販売チャネルの整備を進め、事業規模の拡大を目指しています。
同社は技術革新を経営の中心に据え、複合加工やレーザー加工の併用、さらには金属・ガラス・セラミックを組み合わせた複合体の開発など次世代技術へ投資を続けています。研究開発体制ではシンガポールの子会社(TECNISCO Advanced Materials Pte. Ltd.)での高熱伝導材料の実用化や、全社的に顧客の声を反映する「テクニスコCSマネジメントシステム」を運用し、品質・信頼性の向上と素早い情報連携を図っています。人材面では経験者採用や働き方改革、健康経営を通じて研究開発力と現場の生産性を高めることを目指しています。