ROXXJP:241A

時価総額
¥35.3億
PER
3471.4倍
ノンデスクワーカー向けHRテック事業の有力企業。Zキャリア(累計登録会員39万人、掲載約8.9万件、パートナー約400社、2024年9月末)やAI面接、オンライン完結のback checkを展開。日本全国で展開。

事業内容

ROXXはテクノロジーを活用してノンデスクワーカーの正社員化を支援するHR Tech企業です。同社はノンデスク領域に特化した転職プラットフォーム「Zキャリア」と、オンライン完結型のリファレンス/コンプライアンスチェックサービス「back check」を主力として提供しています。ZキャリアではAI面接やAIスカウトなどの機能で採用プロセスを効率化し、back checkはSaaSで企業のチェック業務を自動化しています。

同社の主要な顧客は、未経験採用に積極的な大手求人企業、年収400万円未満や非正規雇用が多い求職者、そして約400社の小規模人材紹介会社(パートナー紹介会社)です。収益は掲載は無料で求人企業が採用した際に発生する成果報酬や採用事務手数料、パートナー紹介会社や求人企業から受け取る月額のプラットフォーム利用料など、成果報酬型とリカーリング型の両面で成り立っています。back checkは主に月額課金のSaaS収入が中心です。

事業セグメントは大きくZキャリアとback checkに分かれ、Zキャリアは求職者・求人企業・紹介会社の三者をつなぐマッチング基盤として機能しています。Zキャリアは大量採用ニーズを持つ社会インフラ系の求人に強く、登録者数やGMVを重要指標としてテイクレート向上に取り組んでいます。back checkは企業の採用リスク低減を狙い、リファレンスチェックやコンプライアンス調査をオンラインで簡便に実施できるようサービス拡充を進めています。

経営方針

同社は「時代の転換点を創る」を掲げ、ノンデスクワーカーの正社員化を通じて日本の所得向上に寄与することを成長の柱としています。財務目標としては、将来的な売上高100億円の達成を目指しており、主要指標としてはZキャリアの登録者数やGMV(同社内で採用が決定した際に発生する手数料等の合計額)と、GMVに対する売上比率(テイクレート)を重視しています。直近ではテイクレートは40%台で推移しているものの、ダイレクトリクルーティング機能の強化等により2026年9月期までに50%前後への引上げを目標にしており、最終的には営業利益率20%程度の確保も目指しています。

重点投資分野は主に転職プラットフォーム「Zキャリア」とオンライン完結型のリファレンス/コンプライアンスチェック「back check」です。Zキャリアではマス広告による求職者認知度の向上と、企業が直接求職者を探してスカウトできる「ダイレクトリクルーティング」機能、AI面接やスカウト機能などのマッチング機能強化に投資して差別化を図ります。back checkは月額課金のSaaSモデルで大手企業を重点顧客とし、利用頻度向上による顧客あたり売上(ARPU)上昇を狙います。これらにより、紹介会社を介さない直接成約を増やし、人手を介さないマッチングを拡大して収益性を高めることが狙いです。

新市場開拓と事業拡大では、ノンデスクワーカー市場の大きさを踏まえた展開を進めています。同社試算ではノンデスクワーカーは約3,457万人、年間転職者は約209万人、市場規模は約6,500億円と見込んでおり、従来人材サービスが十分に届いていない領域への迅速なサービス投入で求職者会員数とGMVの最大化を図ります。転職支援に加え、リファレンスチェックや面接のAI化など周辺機能を拡充することでミスマッチを減らし、関連サービスへ横展開する計画です。またシステムや運営体制を整備しつつ、資金面では第三者割当増資や借入に加え多様な調達手段を検討して事業拡大を支えます。

技術革新への取り組みは事業の中核です。同社はAI面接で「受けた直後に合否や内定オファーが出る」ような高速な選考体験の構築を進めており、大規模言語モデル等を活用してback checkの調査時間と人件費を大幅に短縮する開発投資を継続しています。加えて利用者増加に備えたサーバー増強やシステム強化、個人情報保護のためのISO27001取得やプライバシーマーク取得、社内研修や定期監査による情報管理体制の強化にも注力しており、安全かつスケーラブルなサービス提供を目指しています。