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シンカJP:149A
事業内容
シンカはクラウド型コミュニケーションプラットフォーム「カイクラ」を提供しており、企業の電話やメッセージ、メールなど顧客対応業務のデジタル化を支援しています。同社は着信時に過去の会話履歴や顧客情報を画面にポップアップ表示するなどして担当者の応対を支援し、対応品質の向上と属人化の解消を図っています。
主要な顧客は中小企業や店舗、個人事業主など顧客対応を行う事業者で、同社の収益は導入時の初期費用、月額のサブスクリプション料金、そしてSMS等の従量課金で構成されています。同社は拠点数や利用量の増加に応じて継続的な売上が伸びるSaaS型の収益モデルを採用しています。
同社は事業を単一セグメントで運営しており、主力製品「カイクラ」は通話録音やテキスト化・AI要約、SMS送信、ビデオ通話、携帯通話録音、メール連携、クラウド電話(カイクラフォン)などの機能を組み合わせて提供しています。これらにより複数チャネルのやり取りを一元管理し、検索や分析を通じて顧客対応の効率化やクレームの早期発見・対策に貢献しています。
経営方針
同社はサブスクリプション型の収益モデルを軸に、アクティブユーザー数・拠点数、MRR(月次の継続収入)、月次解約率、ARPA(一拠点あたりの売上単価)を主要なKPIとして事業成長を図っています。クラウド利用率の高まり(2023年時点で国内企業の約77.7%が何らかのクラウドを利用)を追い風に、同社はこれらの指標を改善しMRR増加と解約率低下を通じた収益拡大を目指しています。認知度向上のためのプロモーション強化や営業体制の拡充も重要施策と位置づけており、直近では中途採用を含め14名の正社員採用など組織基盤の強化にも取り組んでいます。
同社は製品と販売チャネルへの重点投資で差別化を図っています。製品面では、着信時に過去の会話履歴や顧客情報を画面表示するなどの「顧客対応支援」と、通話のテキスト化・AIによる要約や今回実装したAIタスク抽出機能、アラートワード機能などの付加価値で競合と差別化しています。販売面では、NTTグループや大塚商会、SB C&Sとの協業強化や、拠点の少ない小規模事業者向けに一部機能をOEM提供することで販路を広げ、また多拠点の中堅・大手企業への導入に注力してARPAの向上と安定化を狙っています。
新市場開拓と事業拡大では、従来の自動車・不動産業界に加え、新たな業種への横展開を積極的に進めています。問い合わせ増加と受注機会を高めるためにインターネットとリアルを組み合わせたマーケティングを強化し、OEMやパートナー経由で小規模市場にも浸透させる計画です。財務面では第三者割当増資などで財務基盤を強化するとともに費用の見直しとキャッシュフロー経営を進め、成長投資を遅滞なく実行できる体制づくりを目指しています。
同社は技術革新を成長の原動力と位置づけ、継続的な開発投資を行っています。2025年1月にCTI機能を標準装備したクラウド電話「カイクラフォン」をリリースしたほか、会話データを蓄積して量・質を分析し最適な応対方法を提案するなど、データ活用による顧客対応の高度化を推進しています。将来的にはより多様なコミュニケーションチャネルを統合することで「コミュニケーションプラットフォーマー」としての地位を確立し、顧客満足の向上と運用効率化を両立することを目指しています。