- 米国企業
- JABIL INC
JABIL INCJBL
ランドスケープPowered by 会社四季報オンライン
- 企業概況
- (113文字)
- 業績概況
- テーマ
- (2項目)
- ブランド
- ライバル企業
- (3社)
- 同業種の日本企業
- (1社)
事業内容
JABIL INC.は世界的な製造ソリューション企業で、電子機器の設計から部品調達、組立・検査、物流管理まで一貫して手がけています。同社は顧客ごとに専用の生産ラインやエンジニアリング体制を整え、製品の市場投入を速めることや大量生産への立ち上げを支援しています。
同社の売上は大口顧客への依存が一定程度あります。2024年度は上位5社で約36%を占め、最大顧客であるAppleが約11%を占めていますが、長期契約の拡大や新規分野への参入で収益の安定化を図っています。
事業は顧客別に編成した生産ユニットと、設計支援やサプライチェーン管理を含む製造サービスで構成されています。重点分野はクラウド・データセンター向け機器、医療機器、自動車関連、倉庫の自動化や通信機器など多岐にわたり、同社はグローバルな拠点と調達力を活かして顧客の需要に応じた生産配置を行っています。
経営方針
同社は「世界で最も技術的に先進的かつ信頼される製造ソリューション提供者」になることを目指しています。成長戦略としては、高付加価値分野へのシフトと資本配分の最適化を掲げており、事業再編の一環として2023年末に移動体向け事業(Mobility Business)を約22億ドルで売却し、売却による課税前の利益は約9.42億ドルを計上しました。また、株主還元では取締役会が2023年に発表した買戻枠を2.5億ドルに増額し、2024年度には約25億ドルの自社株買いを実行しました。資本支出は2025会計年度に売上比1.5〜2.0%を見込んでおり、安定したキャッシュ配分の下で成長投資と株主還元を両立させようとしています。
同社は重点投資分野としてクラウド/データインフラ、医療、パッケージング、自動車・輸送、倉庫自動化、ネットワーキング・通信、半資本財など高成長かつ高粗利が見込める分野を選んでいます。差別化戦略は大規模グローバル生産インフラと顧客ごとに専任化した事業ユニットの運用にあり、顧客専用の設備・購買チーム・エンジニアを配置して迅速な立ち上げやスケールアップ、調達力による部品価格改善を実現しています。経営上の効率化のために実施した2024年のリストラ計画では約3億ドルの前払費用(税引前)を見込み、続く2025年計画では1.5〜2.0億ドルのリストラ費用(税引前)を想定し、現金支出は約1.0〜1.3億ドルを見込んでいます。
新市場開拓や事業拡大ではM&Aと選択と集中を組み合わせています。直近では2023年11月に約6,000万ドルで調達業務支援のProcureAbilityを買収し、2024年10月には液冷ソリューションのMikrosを約6,200万ドルで取得するなど、製品ポートフォリオの拡充とサプライチェーン能力の強化を図っています。一方で、先述の移動体事業の売却は非中核資産を切り離すことで資本を成長領域と株主還元に再配分する判断であり、主要顧客への深耕(上位5社で売上の約36%、FY2024ではAppleが約11%を占める)を通じて規模の経済と長期契約による安定収益を追求しています。
技術革新への取り組みでは、同社は製造プロセスや設計支援に継続投資しており、2024年度の研究開発費は約3900万ドルで売上比は約0.1%と規模は限定的ながらも実務指向の開発を重視しています。具体的には自動化や高精度試験、材料科学、液冷・シリコンフォトニクス・集合光学(co‑packaged optics)・付加製造・持続可能材料、さらに人工知能や機械学習の導入による生産最適化を進め、顧客の短い製品ライフサイクルに応える「立ち上げの速さ」と「量産への迅速な拡張力」で競争優位を築こうとしています。