JACK IN THE BOX INCJACK

時価総額
$3.9億
PER
ファストフードチェーンの大手。ハンバーガーやタコスを軸にドライブスルー、モバイル注文、フランチャイズモデルを展開。2022年に競合ブランドを約5.93億ドルで買収、2024年に年間配当合計1.76ドルを実施。米国中心に展開。

事業内容

JACK IN THE BOX INCは米国を中心にハンバーガーやサンドイッチなどのファストフードを展開する外食企業です。同社は自社運営店舗とフランチャイズ店舗の双方で料理を販売し、ドライブスルーやテイクアウト、配達など利便性の高いサービスを主力としています。

同社の主な顧客は手早く食事を求める一般消費者で、店舗でのフード販売が売上の中心です。また加盟店からのロイヤルティやフランチャイズ料、賃料が継続的な収入源になっており、近年はDel Tacoの買収によりブランドと店舗基盤の拡大を図っています。

同社の事業は自社運営事業とフランチャイズ事業に大別され、ブランド管理や供給網、店舗開発を通じて成長を目指しています。加えて決済やモバイル注文などの技術投資や商標によるブランド保護に注力しており、栄養規制や労働法、サイバーセキュリティの変化がメニューやコストに影響を及ぼすリスクも抱えています。

経営方針

同社は規模拡大と収益基盤の強化を通じて成長の加速を目指しています。直近ではDel Tacoを総額約5.93億ドルで買収し、買収に伴うのれんは約3.20億ドル、商標評価額は約2.84億ドルと大きな投資を行いました。経営陣は同社の業績を「既存店売上(same-store sales)」「システム全体売上」「フランチャイズ売上」「1店舗当たり売上(AUV)」などの定量指標で管理しており、買収や出店でこれらの指標を押し上げることを狙っています。株主還元の面では、2024会計年度に合計0.44ドルの現金配当を実施し、直近四半期では301,896株を買戻すなど自社株買いも継続しており、買戻しの残枠は約1.8億ドル(注:表記は千ドル単位の数値)です。

重点投資分野はブランド強化とフランチャイズ拡大、サプライチェーンの改善です。買収の対価配分を見ると商標やフランチャイズ契約等の無形資産に資金を振り向けており(商標約2.84億ドル、フランチャイズ契約の公正価値約970万ドル)、ブランド価値を高めることでフランチャイズ加盟や収益性向上を図っています。また、サプライチェーン責任者や開発担当など人材を強化しており、調達・物流の効率化や原料コスト管理を通じて他社と差別化することを重視しています。店舗改善やサービス、メニューの投入といった施策も並行して行い、フランチャイズと直営の両面で競争力を維持しています。

新市場開拓と事業拡大に関しては、Del Tacoの取得により地理的なカバレッジと出店ポテンシャルを拡大する計画です。買収後の財務情報の想定(プロフォーマ)では、結合ベースでの売上高は2022年換算で約16.86億ドルと試算されており、経営はブランド統合による相乗効果(出店拡大、フランチャイズ拡大によるロイヤルティ増、運営効率の改善)で成長を実現したい意向です。買収資金は手元資金と借入で賄い、既存の負債整備やリース評価の調整を通じて統合コストや利払い負担を管理する方針を示しています。

技術革新については決済とセキュリティ、IT運用の強化に重点を置いています。同社はNIST準拠のサイバーセキュリティ体制を採用しており、四半期ごとの脆弱性スキャンや年次の侵入テスト、インシデント対応計画の整備を行っています。決済面ではEMVチップの端末導入とPCI DSS準拠によるカード情報非保持の仕組みを採用し、カードデータは第三者決済業者経由で処理することでリスク低減を図っています。加えて、社内外の従業員に対する年次のセキュリティ教育を実施し、デジタル注文や店舗運営の効率化に資するIT投資を継続しています。