- 米国企業
- ILLINOIS TOOL WORKS INC
ILLINOIS TOOL WORKS INCITW
ランドスケープPowered by 会社四季報オンライン
- 企業概況
- (109文字)
- 業績概況
- テーマ
- (1項目)
- ブランド
- (3項目)
- ライバル企業
- (1社)
- 同業種の日本企業
事業内容
ILLINOIS TOOL WORKS INCは多様な工業向け製品や専門部品を設計・製造する米国の大手メーカーです。同社は溶接機器や接着剤・潤滑剤、業務用食品機器、電子の試験・組立装置、建築用の留め具など、現場での効率や品質向上につながる差別化された製品群を世界中の企業向けに販売しています。
主要顧客は自動車メーカーとその部品サプライヤー、食品サービスや小売、一般工業や電機メーカー、建設業者など多様です。同社の収益は主に製品販売による都度売上が中心ですが、消耗品や保守・サービス契約、長期供給契約からの継続的な収入も安定した収益源になっています。
事業は溶接、ポリマー&流体、食品機器、試験・測定と電子、建築用製品、特殊製品といったセグメントに分かれています。具体的にはアーク溶接機や溶接用消耗品、工業用接着剤やコーティング、業務用冷蔵・調理機器、材料や構造の試験装置、木材やコンクリート向けのファスニング製品、飲料包装・表示機器などの製品ラインを展開しています。
同社は事業ポートフォリオを絞って差別化を強める戦略を取り、重要顧客に対する長期供給や顧客起点の製品開発で収益性向上を目指しています。得たフリーキャッシュフローは配当や自社株買い、選択的な成長投資に振り向ける資本配分を行っています。
経営方針
同社は2024~2030年の「Next Phase」で、有機成長(既存事業からの成長)をコアの強みとして確立することを目指しています。2012年以降のITWビジネスモデルと80/20 Front‑to‑Backの再適用により、営業利益率は2024年に29.3%(前年から90ベーシスポイント改善)と高水準を維持しており、2024年の売上高は約158.98億ドル、フリーキャッシュフローは約28.44億ドルでした。これらのキャッシュ創出力を背景に、同社は配当(2024年は1株当たり5.80ドル)と自社株買い(2023年発表の上限50億ドル枠では2024年末時点で約35億ドルの余地)を重要な資本配分策としています。
重点投資の大半は「規模を拡大した86の事業部門」に対する研究開発や営業・技術人材の強化、及び戦略的調達の仕組みづくりに向けられています。戦略的調達は2013年以降、年間平均で約1%の支出削減をもたらしており、商品ラインや顧客基盤の単純化と組み合わせることで差別化された高付加価値製品に資源を集中させる方針です。とくに差別化が図れる領域(特許で守られたニッチ製品や産業向け機器など)に注力することで、高い営業利益率を維持することを狙っています。
海外展開と事業拡大は選択と集中の方針で進められています。同社は51か国で事業を展開しており、地域別では北米が約85.3億ドル、欧州中東アフリカが約41.01億ドル、アジア太平洋が約29.61億ドルの売上を計上しています(2024年)。生産設備は米国に設備の約44%、中国に約16%が所在しており、成長機会のある地域やセグメントで小規模な買収(2024年には測定・電子分野で合計約1.16億ドルの買収)を行う一方、非中核事業の売却や製品ラインの整理も進めています。製品ラインの簡素化は将来の収益性向上につながる一方、短期的には有機売上を押し下げる可能性があることも織り込み済みです。
技術革新では「カスタマー・バック・イノベーション(顧客の課題起点での製品開発)」を成長の主要駆動力に位置づけています。既存の業務プロセス改善や製品開発に加え、特許・ノウハウによる知的財産の保護を重視し、製品差別化を維持するための投資を継続しています。加えてサイバーセキュリティも経営上の優先課題で、CISO主導の体制で四半期ごとに取締役会の監査委員会に報告するなど、デジタルリスク管理に取り組んでいます。人工知能や機械学習の活用は機会である一方で導入や保護に時間と投資を要するため、同社は段階的かつ選択的に技術投資を進めています。