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Ideal Power Inc.IPWR
事業内容
Ideal Power Inc.は双方向に電流を流せる独自のバイポーラ接合トランジスタ(B-TRAN®)という固体スイッチ技術の開発と商業化に注力する企業です。同社はこの技術を基にしたモジュール製品としてSymCool® Power ModuleとSymCool® IQ Intelligent Power Moduleを立ち上げ、低損失で双方向の電力制御が可能な製品化を進めています。
主要な顧客層には自動車メーカーや電力機器メーカー、流通パートナーが含まれます。収益構造は製品販売と研究開発助成金が中心で、ライセンスや流通を通じた販売も想定しており、商業売上は2024年と2023年にそれぞれ約$86,032と$161,483の実績があります。
事業セグメントは主にB-TRAN®のデバイス開発と、そのデバイスを複数封止してモジュール化したSymCool®製品群に分かれます。SymCool® Power Moduleは固体回路遮断器向けの低導通損失設計、SymCool® IQは双方向駆動向けに統合ドライバを備え、再生可能エネルギー、蓄電、EV充電、産業用途などでの採用検討が進んでいます。また、大手自動車メーカーとの開発契約でカスタムモジュールの評価や試験協力を行った実績があります。
経営方針
同社はB‑TRAN(双方向動作が可能な固体スイッチ)技術の商用化を通じて売上と顧客基盤の拡大を目指しています。直近の実績として、2024年の商業売上は86,032ドル、2023年は161,483ドルであり、成長資金として2024年3–4月の公募増資により純収入約1,570万ドルを確保しました。これらの資金を研究開発と市場投入の加速に充て、早期の設計獲得(デザインウィン)から量産への移行を進めることを短期的な数値目標としています。
同社は製品化と差別化に重点投資を行っており、具体的には低損失を狙ったマルチダイ構成のSymCool Power Moduleと、双方向駆動に最適化したドライバーを統合したSymCool IQを投入しています。これにより、従来の単方向デバイスを複数組み合わせる方式と比べて制御の簡素化と効率改善を訴求しており、製品面での明確な差別化を図っています。加えて、製造やパッケージング、駆動回路の開発で外部パートナーと連携し、ライセンス契約や第三者委託を活用することで生産拡大を狙っています(既存のライセンス料は年額5万ドルと10万ドルの契約があり、将来支払額の現在価値は約1,157,375ドル)。
同社は新市場開拓と事業拡大に向けて自動車や再生可能エネルギー、蓄電、EV充電といった需要の大きい領域に注力しています。たとえば大手自動車メーカーStellantisとの開発契約では評価フェーズと第2フェーズを経て2024年に第2フェーズを完了し、自動車規格に向けた試験計画が承認されるなど設計採用に向けた前進を得ています。製品面ではSymCool Power Moduleの出荷を2024年初頭に開始し、SymCool IQの初回注文を2024年末に受注、販売チャネル面では2024年に3社の流通パートナーを追加するなど、需要獲得から供給体制構築への具体的な施策を実行しています。
同社は技術革新を継続的に推進することで競争優位を維持することを目指しています。研究開発資金として過去に助成金で計370万ドルを受領しており、今後も追加助成金の獲得を視野に入れながらパッケージング設計や駆動回路の改良、性能向上に投資します。知的財産の保護は出願と秘密保持契約で進め、内部統制については2024年12月31日時点で経営陣が有効と評価しており、サイバーセキュリティは最高財務責任者が外部専門業者と連携して監督している点も、技術リスク管理の一環として明確にしています。