Samsara Inc.IOT

時価総額
$235.6億
PER
物理運用管理向けソフトウェアとハードの統合プラットフォームの大手。API連携、クラウド型IoTデバイス、モバイルアプリを備えたConnected Operations Platformを展開。2021年12月のIPOと従業員3,500名超の体制。米国・欧州中心のグローバル展開。

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企業概況
103文字)
業績概況
テーマ
2項目)
ブランド
ライバル企業
1社)
同業種の日本企業
1社)

事業内容

Samsara Inc.は、車両や機械、施設など現場の物理資産をクラウドで一元管理する「Connected Operations Platform」を提供しています。 同社は現場に設置するセンサーやカメラなどの接続機器と、運行管理や安全管理、データ分析を行うクラウドアプリを組み合わせ、現場の状況をリアルタイムに可視化して改善につなげています。

主要な顧客は運送・物流、建設、フィールドサービスなど物理資産を多く保有する企業で、大企業から中小企業まで幅広く採用しています。 同社の収益は主にクラウドソフトのサブスクリプションと接続機器の販売・サポートに依存しており、契約は一般に複数年の長期サブスクリプションが中心です。

同社は車両のテレマティクスや車載カメラによる安全管理、設備監視や運用レポートなど複数のアプリケーションを単一のプラットフォームで提供し、顧客は必要な機能を組み合わせて導入できます。 また、APIやアプリマーケットで他システムと連携できるほか、OEM、再販パートナー、保険会社などとの提携を通じて導入のハードルを下げ、付加価値を高める取り組みを行っています。

経営方針

同社は、安全性・効率性・持続可能性を高めることを成長の目的に据え、長期的な顧客基盤拡大を重視しています。具体的には新規顧客の獲得と既存顧客へのアプリケーション追加を成長ドライバーと位置づけており、収益の約98%が定額制契約(サブスクリプション)で安定的に入る構造です。サブスクリプションは通常3〜5年の契約で、大口顧客では複数アプリ導入が一般的で、コア顧客の80%以上、年間経常収益(ARR)が10万ドル超の顧客の90%以上が複数アプリを利用しています。なお財務面では2025会計年度の純損失が154.9百万ドル、累積欠損が1,610.0百万ドルと、成長投資と収益化のバランスを取る段階にある点も明示されています。

重点投資分野は研究開発と営業・マーケティング、人材採用および供給網の管理です。同社はデータを集めるためのIoT端末と、データを分析・可視化するクラウド基盤の両方に投資しており、2025会計年度の営業費用は1,140.9百万ドルに拡大しました。差別化要因は「車両・設備・拠点を共通のプラットフォームで管理できる点」で、個別の点在する製品を統合することで運用負荷を下げることを狙っています。開発者向けの連携ガイドやダッシュボード上の連携状況表示、外部システムとの接続を容易にする仕組み(API)を整備することで、導入や拡張のハードルを下げている点も競争優位です。

新市場開拓や事業拡大では国際展開と大企業向けのアカウント営業を強化すると同時に、チャネルやOEM、保険会社との提携を通じた用途拡大を進めています。パートナーエコシステムは300以上の連携パートナーを擁し、OEM連携により出荷時点での接続データを取り込めるケースを増やすことで導入工数を削減しています。保険会社との連携では安全性向上を契機に保険料割引を伴う導入促進が進んでおり、こうした商流・チャネルを活用して垂直領域と地域の拡大を図っています。一方で、クラウドの主要プロバイダー依存や競合の激化、買収統合の難しさといったリスクも想定して準備を進めています。

技術革新への取り組みは同社の中核で、データ取り込み基盤のスケールアップとアプリ群の継続的なリリースを重視しています。具体的には端末からのデータ種類を増やしてプラットフォームに蓄積し、そのデータを元に運用上の示唆を出すアプリを順次投入する「顧客フィードバックを起点とした開発サイクル」を採用しています。品質やセキュリティの確保、クラウド環境の信頼性向上、そして外部システムとの確実な連携を重視することで、大規模顧客にも耐えうるプラットフォームを目指しています。