INTUIT INC.INTU

時価総額
$1871.5億
PER
税務・会計ソフトと金融サービスの米国最大手。QuickBooksやTurboTaxを軸にクラウド会計、ペイロール、決済、マーケティング自動化や与信サービスを展開。2024年7月期の純利益は29.6億ドル。米国中心に世界展開。

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企業概況
119文字)
業績概況
テーマ
2項目)
ブランド
3項目)
ライバル企業
2社)
同業種の日本企業
4社)

事業内容

INTUIT INC.は、個人と中小企業向けに会計・税務・決済・個人金融のソフトやサービスを開発・提供する企業です。代表的な製品に会計ソフトのQuickBooks、確定申告ソフトのTurboTax、マーケティング自動化のMailchimp、個人向け金融のCredit Karmaなどがあり、クラウド型の有料サブスクリプションとオンラインサービスを主軸に事業を展開しています。

同社の主要顧客は個人納税者と小規模から中堅の事業者で、税理士や会計士が重要なチャネル兼パートナーになっています。収益は定期的なサブスクリプション収入に加え、決済手数料や付帯サービス、プロ向けライセンス収入などで構成され、特に確定申告期(11月〜4月)に収入が集中する季節性がある点が特徴です。

事業は大きく小規模事業者向けの会計・給与・決済、消費者向けの確定申告・個人金融、そしてマーケティング自動化などの製品群に分かれます。具体的にはQuickBooksシリーズやオンラインの給与・決済サービス、TurboTaxとProConnectの税務製品、MailchimpやCredit Karmaのプラットフォームを通じて顧客を囲い込み、直販やパートナー経由、アプリストアや小売を組み合わせて販売しています。さらに同社はAIやデータ分析への投資を進め、個人化と使いやすさで利用率と収益の拡大を図っています。

経営方針

同社は長期的にサービス収入の比率を高めることで安定的な成長を目指しています。直近の決算では2024会計年度に純利益約$2.96億ドル($2,963 million)を計上し、経常的なキャッシュ創出力を背景に株主還元へも積極的です。取締役会は2024年7月31日時点で$1.9 billionの自社株買い権限を持ち、2024年8月20日に追加で$3.0 billionの承認を行っており(合計で最大約$4.9 billionの買戻し余地)、余剰資金は買戻しや配当で還元する方針を明確にしています。一方で成長分野への再配分を目的とした組織再編も進めており、2024年7月に発表した再編計画の費用は約$247 millionを見込んでおり、既に$223 millionを費用計上しています。

重点投資分野として同社は製品開発、営業・マーケティング、IT基盤、そしてプライバシー・セキュリティに資源を集中しています。例えば2023会計年度の再編では、Small Business & Self-Employedから$49 million、Consumerから$168 million、ProTaxから$60 million、合計約$277 millionをコーポレート費用へ再分類しており、プラットフォーム横断での技術投資や共通基盤整備に注力していることが数値にも現れています。差別化においては、QuickBooks、TurboTax、Mailchimpといった製品群の連携による「ワンストップ」性、使いやすさ、強固なデータ保護とカスタマーサポートを前面に出して顧客の定着とアップセルを狙っています。

新市場開拓と事業拡大の計画では、同社は中小企業からミッドマーケットへの拡大を明確に打ち出しています。Mailchimp(買収日は2021年11月1日)を含む製品群を統合し、2024年8月1日にSmall Business & Self-Employedを「Global Business Solutions」に改称してグローバルかつ中堅顧客も視野に入れたエンドツーエンドのプラットフォーム化を目指しています。同社は会計事務所や金融機関とのパートナー網、直接販売と多チャネル戦略を組み合わせることで地域展開とクロスセルを図り、税関連の季節性(消費者・プロ向けは主に11月〜4月に集中)を補う年中のサービス収益化にも取り組んでいます。

技術革新への取り組みとしては、人工知能(AI)と生成AIを中心に据えた製品強化を続けています。同社は「製品にAIを組み込むための重要投資を継続する」と明言しており、個別化された財務提案や使いやすさの向上を研究開発の主眼に置いています。インフラ面では主要なクラウド事業者(Amazon Web ServicesやGoogle Cloud Platform)を活用しつつ、不正検知やサイバーセキュリティ対策へ継続的に投資しているほか、業界や政府との連携による詐欺対策も強化しています。