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HERC HOLDINGS INCHRI
事業内容
HERC HOLDINGS INCは、建設や産業現場で使う大型・中型の機械や専門工具のレンタルを主力とする企業です。同社は自社で保有する多様で高品質な機材フリートを通じて、一般的な建設機械からプロ向けの工具、さらに特殊用途の機器まで幅広く貸し出しています。
主要な顧客は個人や地域の小規模工事業者から全国規模の大口顧客まで幅広く、全国規模の契約が同社の収益において重要な比重を占めています。こうした大口顧客向けの長期貸与や継続利用により、安定的な収入やフリートの稼働率向上につながっており、2024年は機材レンタル収益の約45%が該当しました。
事業は高所作業機、土木用重機、荷役機器、トラック・トレーラー、空気圧縮機、締固め機器、現場照明などのコア機材群と、機材運搬、フリート管理、遠隔監視や電源提供、現場でのサービス、部品・消耗品販売といった付帯サービスで構成されています。加えて、同社は北米での拠点網拡大や既存拠点への機材投資、新規出店・戦略的買収を通じてコア分野の成長と特殊領域の拡充を進めています。
経営方針
同社は中核事業の成長とスペシャリティ分野の拡大を成長戦略の中核に据えています。具体的には、北米での拠点拡大や既存拠点への機材投資を通じて市場シェア拡大を図っており、現在は推定で業界全体の約4%の売上シェア、米国・カナダ合わせて451拠点を展開しています。資本配分では株主還元と成長投資のバランスを重視しており、2014年開始の自社株買い枠は当面で約1,000百万ドルの枠のうち残り約161百万ドルが利用可能で、2024年12月に1株当たり0.665ドルの四半期配当を宣言するなど配当政策も継続しています。
重点投資分野は大型・多様なレンタル機材ポートフォリオと付帯サービスの強化です。同社は空中作業機、土工機械、荷役、トラックや発電機などコア機材への追加投資で稼働率を高める一方、特殊機材や専門サービス(輸送、フリート管理、電源ソリューション、オンサイトサービス、部品販売など)を拡充して差別化を図っています。大口顧客向けのナショナルアカウントが機材レンタル収入の約45%を占め、これが長期レンタルや継続収入、機材の効率的な配転を可能にしており、顧客対応力と熟練人材育成(2024年に約398,000時間の研修実績、2.4万件の研修資産活用)でサービス品質を担保しています。安全面でもTRIR 0.87、DART 0.20、LTC 0.32といった指標で管理し、取締役会へ定期報告を行っています。
新市場開拓と事業拡大は、出店(グリーンフィールド)と戦略的M&Aの併用で進めています。実例として2024年7月にカリフォルニア・アリゾナ圏をカバーするOtay Mesa Salesを約273百万ドルで買収し、取得資産のうちレンタル機材が約129百万ドル、無形資産が約65百万ドル、のれんが約56百万ドルとして計上されました。同社は大都市圏への枝番増設や地域での存在感強化を目標とし、業種別に多様化した顧客基盤(産業26%、インフラ17%、商業施設14%、その他7%など)を活かして景気変動への耐性を高める計画です。
技術革新への取り組みでは、業務効率化と顧客利便性向上を狙ったデジタル化とサイバーセキュリティの強化を進めています。機材稼働や位置情報を管理するテレマティクスや、顧客が機材手配や中古機材購入を行えるウェブ・モバイルアプリを充実させるとともに、経営陣主導のリスク管理プログラムにサイバー対策を統合し、NISTガイドラインを参照した方針の下で取締役会が直接監督しています。財務リスク管理でも、ABL等の金利変動感応度を分析しており、仮に金利が1%上昇すると短期的には税引前利益が約1年間で1900万ドル減少するとの試算を踏まえてヘッジや資本運用の方針を検討しています。