HARTE HANKS INCHHS

時価総額
$2371.3万
PER
カスタマーエクスペリエンスとマーケティングサービスの最大手。データ、マーケティング、セールス、カスタマーケア、フルフィルメント、物流の6領域を展開。2023年後半に変革プログラム『Project Elevate』を開始、2024年初に事業変革室を設置。北米・欧州・アジア太平洋で展開。

事業内容

HARTE HANKS INCは顧客とブランド体験を設計・実行する総合的なサービス企業で、データ、マーケティング、セールス、カスタマーケア、フルフィルメントおよび物流の六つの領域で事業を展開しています。顧客の認知から購入、配達、アフターサポートまでの一連のジャーニーをデータとテクノロジーで支援し、成果につなげることを主力としています。

主要顧客は大手多国籍企業や中小企業、政府機関など多様で、小売、医療、金融、テクノロジーなど幅広い業種にサービスを提供しています。収益は概ね1〜3年の契約に基づき、上位25社で2024年の売上の約72.1%を占め、最大顧客が同年の約9.4%を占める一方、多くの契約は最小購入義務がなく短期解約が可能なため売上は変動しやすい構造です。

事業は主にマーケティングサービス、カスタマーケア、フルフィルメント・物流のセグメントに分かれ、それぞれデータ活用によるターゲティング、マルチチャネルの顧客対応、商品の保管・配送といった機能を組み合わせて提供しています。複数サービスを横断して顧客の課題解決を図ることに強みを持ち、必要に応じて外部協力会社を活用してスケールや専門性を補っています。

経営方針

同社は短期的に収益性の改善と構造改革の完遂を成長の中心に据えています。2024年の連結売上高は1億8524万ドル(前年比−3.3%)、営業利益は209万ドルにとどまりましたが、Project Elevateという事業変革プログラムを通じて2024〜2026年に合計1600万ドルの再編効果を見込んでおり、これにより営業利益率の回復と中期的な安定成長を目指しています。なお、同プログラムに伴う再編費用は2024年に240万ドルを計上しており、2025年末までに合計1010万ドルのリストラクチャリング費用を見込んでいます。

同社は重点的に営業・マーケティングと技術への再投資を行うことで差別化を図っています。再編で得たコスト削減分を部分的に営業・マーケティング部門やテクノロジー、戦略に振り向ける方針で、具体的には営業体制の国際的拡充やデータ戦略、マーケティング自動化への投資を進めています。事業はマーケティングサービス(2024年売上5030万ドル)、カスタマーケア(同5290万ドル)、フルフィルメント&ロジスティクス(同8200万ドル)の三本柱で、顧客の購買から製品配送、サポートまでを横断的に提供する「ジャーニー全体を支える」点を差別化要素としています。

新市場開拓と事業拡大は既存顧客へのクロスセルと国際展開の両面で進めています。大口顧客依存のリスクがあるため(上位25顧客で2024年の売上の72.1%を占める)、同社は新規顧客獲得と複数業界への展開に注力し、パートナー連携や外部サプライヤーの活用でスケールを拡大しています。営業・マーケティング機能はクロスチャネルの施策(アカウントベースドマーケティングやデマンドジェネレーション)を実践しており、法人(B2B)やヘルスケア、消費財(B2C)など重点業種での拡販を目指しています。

技術革新についてはデータ活用とAIを中核に据えた投資を強めています。マーケティング分野では予測モデル、マーケティングオートメーション、CRMやプラットフォームアーキテクチャの強化を進め、カスタマーケアではリアルタイムデータを使ったオムニチャネル対応を推進しています。具体的な投資行動としては2024年に前年より約90万ドル多く技術改善と設備更新に投じており、2024年初めに設置したトランスフォーメーションオフィスがこれらの進捗を管理しています。一方で同社はデータ提供者やプライバシー規制への依存度も高く、データ入手や規制変化が事業に与える影響を常に意識しています。