GROUP 1 AUTOMOTIVE INCGPI

Group 1 Automotive, Inc.は米国と英国を中心に多数の自動車販売店を運営する大手自動車小売企業です。新車・中古車の販売を中核に、車検や整備、部品販売、板金修理といったアフターサービスに加え、自動車ローンや保険の手続き支援（F&I）を併せて提供しています。

同社の主要顧客は個人の消費者やその家族で、販売と整備の両面で繰り返し来店する顧客基盤を持っています。収益は新車・中古車の売上が大きな割合を占める一方で、整備・部品収入やF&I手数料、中古車の売買差益などの継続的な収入が利益に重要な役割を果たしています。

同社は複数ブランドの販売店を地域ごとにクラスター化し、中央の顧客サービスセンターや社内研修で顧客対応と人材育成を標準化しています。さらに、中古車の仕入れ・再整備と在庫移動を最適化し、仕入先との集中交渉で調達コストを下げるとともに、買収と売却を組み合わせて店舗構成の最適化を進め、規模のメリットを生かして収益性を高めています。

同社は積極的な買収と既存店の効率化を両輪に成長を目指しています。2024年は合計で67件のディーラー買収を実行し、特に8月に実施した英国のInchcape Retail買収は約5.17億ドルの対価で54拠点を取得する大型案件でした。こうした外形拡大とともに、自社株買い枠を2024年11月に5億ドルへ引き上げるなど株主還元も重視しており、当年は51万8,465株を約1.616億ドルで取得、四半期配当として年間合計1.88ドル／株（総額約2,470万ドル）を支払っています。財務面では、2024年末の総調整レバレッジ比率が約2.79と借入制約に対して余裕があり、固定債務カバレッジ比率も約3.56と健全です。

同社は差別化の中心を「地元規模（ローカルスケール）」の活用と業務標準化に置いています。複数ブランドを同一エリアに持つクラスター化で、顧客の家族全体を取り込むマーケティングや在庫の最適配置を図り、リコンディショニング（整備・仕上げ）の時間短縮やコスト削減で収益性を高めています。店舗ごとの収益源であるファイナンス・保険商品の接客体験（店内・オンライン両面）や調達面での規模交渉力の強化、優秀なF&I担当者の業務フロー最適化など、明確な施策で付加価値を引き上げることを目指しています。

新市場・事業拡大については、選択的な買収方針とポートフォリオ最適化を組み合わせて成長を図っています。同社は「ほぼすべてのブランドを買収可能」と自認しており、より高リターンの案件に資本を集中させるために低採算店舗の売却も行います。2024年の一連の買収と仮定したプロフォーマでは、年次売上高は約215億ドル、当期純利益は約5.23億ドルとなっており（買収を1年前倒しで反映した想定値）、英国や米国内でのブランド・拠点拡大を通じた収益基盤の強化を進めています。

技術革新には迅速な採用姿勢で取り組んでおり、とくに中古車の査定・仕入れ領域で市場価格を横断的に把握する外部サービスや評価ツールへ大きく投資しています。中央の顧客対応センターやバーチャル技術を使ったF&Iのワークフロー改善、店舗内データの標準化によって、顧客接点の質を上げつつ在庫回転を速める狙いです。電動車（EV）やメーカーの販売モデル変化（直販・エージェンシー化）といった業界の構造変化についても継続的に分析し、影響が大きい場合は戦略を適時修正する方針です。