Fortinet, Inc.FTNT

時価総額
$630億
PER
ネットワークとサイバーセキュリティ製品の最大手。セキュリティサブスクリプションとアプライアンス、独自ASIC搭載の高性能機器を展開。2024年8月にNext DLPを約1.05億ドルで買収。製造の約88%を台湾で委託、従業員14,138人、100カ国超で展開。

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企業概況
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事業内容

Fortinet, Inc.はサイバーセキュリティ分野の大手で、ネットワークとセキュリティを一体化したプラットフォームを展開しています。同社はファイアウォールなどの機器やソフトウェア、クラウド経由のセキュリティサービスを中核に、脅威検知やアクセス制御などを通じて企業の通信環境を守っています。

主要な顧客は金融や医療、製造、通信、政府機関を含む企業やサービス事業者で、100か国以上に広がる販売チャネルを通じて中小から大企業まで幅広く取引しています。同社の収益はハードウェア販売に加え、FortiGuard等のサブスクリプションやFortiCareのサポートといった継続課金が大きな割合を占め、契約期間に応じて収益を按分して計上するため収入が継続的に積み上がります。

事業はハードウェア、ソフトウェア、クラウドサービスといった製品ラインに分かれ、これらを組み合わせた統合ソリューションを展開しています。同社は統合型SASEやセキュリティ運用(SecOps)といった分野に注力しており、データ損失防止やクラウド保護を強化するための買収や機能拡充を進めています。

経営方針

同社は事業をハードウェア売上からサービス中心のストック型収益へ移行させることで、安定した長期成長を目指しています。実際に2024年のサービス収入は前年から20%増加し、セキュリティサブスクリプションは22%増と伸長しました。繰延収益残高は2024年に5億7,780万ドル増加しており、これが今後の定期収益の土台になっています。一方で同社は2025年に製品収入の成長率を改善すると見込みつつ、サービス成長率は短期的に鈍化する可能性を認識し、2025年は営業費用やデータセンター投資の増加により営業利益率が前年より低下することを見込んでいます。財務面では現金・現金同等物と投資を合わせて約40.7億ドルを保有し、株主還元策としては買戻し枠を拡大し(総枠は82.5億ドル、2024年末で残約20.3億ドル)、これまでに約238.6百万株、約62.2億ドルを買い戻しています。

同社は重点投資分野としてクラウド型の統合セキュリティや運用支援サービス、データセンターや接続拠点(PoP)の拡張に資金を振り向けています。具体的には、SASE(クラウド経由でネットワークとセキュリティを一体提供する仕組み)やSecOps(セキュリティ運用サービス)といったサブスクリプション型サービスの拡充を進め、これらを自社の高性能機器や専用設計チップ(ASIC)と組み合わせた「プラットフォーム」で差別化を図っています。差別化の核は、機器のスループットや機能の幅、チャネルを通じたソリューション提供力であり、これらを強化するために製品開発や営業・マーケティング、人員増強へ投資を続けています(従業員数は2024年末で14,138人、前年比4%増)。

新市場開拓と事業拡大に関しては、戦略的な買収とグローバル販売の強化を並行して進めています。2024年はクラウドワークロード保護のLaceworkやデータ損失防止のNext DLP(約1.05億ドルで買収)、協業・メールセキュリティのPerception Point(約3,370万ドル)などを取得し、Next DLPやPerception Pointは既存のSASEやエンドポイント製品と統合して新たな商機を狙っています。地域別の売上は米州41%、EMEA40%、APAC19%と分散しており、同社は大手企業やサービスプロバイダー向けの直接販売とチャネル経由の両輪で国際的な拡大を図っています。また、事業拡大を支えるためにデータセンター、コロケーション、クラウドホスティング能力を増強する計画を公表しています。

技術革新への取り組みとしては、自社ASICや製品プラットフォームの継続的な改良と、クラウドサービスの運用基盤強化が挙げられます。研究開発と製品投資を拡大しつつ、クラウド上でのサブスクリプション提供を支えるためのデータセンター投資や運用自動化、業務基盤(ERP/CRM)の改善にも注力しており、これにより注文処理や財務報告の信頼性向上を図っています。加えて、買収先の技術を統合することで、メール保護・DLP・クラウドワークロード保護といった横断的なセキュリティ機能を素早く市場に投入する方針を示しており、人材採用とトレーニングも並行して強化しています。