FORRESTER RESEARCH, INC.FORR

時価総額
$1.4億
PER
グローバルな独立系リサーチ・アドバイザリーの大手。サブスクリプション型リサーチ、コンサルティング、イベントを展開。NASDAQ上場、2024年売上432.5百万ドル、契約価値は2024年末で307.6百万ドル。北米・欧州・アジア太平洋で展開。

事業内容

Forrester Research, Inc.はグローバルな独立系リサーチ&アドバイザリー企業で、テクノロジーや顧客体験、デジタル戦略、マーケティング、営業、製品担当者向けに洞察と実行支援を提供しています。主力は年間の定期購読型リサーチサービスとコンサルティング、業界向けイベントで、世界中の消費者・企業調査データや専門家の助言を基に実務に結びつく示唆を出しています。

主要顧客は大企業の事業部門やテクノロジー企業を中心に、北米・欧州・アジア太平洋で直接営業や一部の代理販売を通じて契約を獲得しています。収益は定期購読型リサーチ、コンサルティングのプロジェクト報酬、イベントのチケットやスポンサー収入の三本柱で成り立ち、契約価値(CV)という指標で繰り返し収入の拡大を重視しています。なお、2024年には単一顧客が売上の3%を超えないなど顧客分散が進んでいます。

事業はリサーチ、コンサルティング、イベントの三つのセグメントで構成され、リサーチでは将来予測やベンチマーク、実務ツールに加え専門家との継続的な相談を組み合わせた定期購読サービスを提供しています。コンサルティングは戦略策定から実行支援、ベンダー選定までのプロジェクト型サービスを行い、イベントは実務者向けの会合を通じて知見共有と顧客関係強化を図っています。営業組織は顧客規模や地域別に編成され、導入後の顧客成功チームが契約更新と成果実現に注力しています。

経営方針

同社は契約価値(CV)の拡大を通じて、より予測可能で収益性の高い成長を目指しています。2024年の売上高は約4億3,250万ドル、同年末の契約価値は3億76万ドルで、契約価値は前年末の3億2,360万ドルから約5%減少しましたが、同社はこのCV成長を成長エンジンの中心に据え、サブスクリプション中心の収益基盤を強化する方針です。財務面では現金・現金同等物と有価証券で約1億472万ドルを保有し、発行済み株式数は2025年3月時点で18,981,000株、株主還元の余地として約8,000万ドルの自社株買い枠を残しています。一方で借入金は信用枠から3,500万ドルを利用しており、同社は資本効率と流動性のバランスを取りながらCV拡大に投資する考えです。

同社は顧客中心主義に基づく高付加価値サービスの提供で差別化を図っています。提供する主要製品はサブスクリプション型研究サービス「Forrester Decisions」で、同製品がCVの約80%を占める点が事業の柱です。独自の年次調査で70万人以上の消費者・事業担当者データを保有し、リサーチとアナリストによる実務支援を組み合わせることで、顧客が戦略を実行しやすい「知見+実行支援」を提供している点を強みとしています。クライアントは約1,900社にのぼり、販売は北米・欧州・アジア太平洋での直接販売と一部の国際代理店を通じて行い、コンサルやイベントとの組み合わせで更新率向上を狙っています。

同社は新市場開拓と事業の効率化を両輪で進めています。販売組織を顧客規模や地理で編成し、重点的に大手顧客や成長が見込める市場を攻める一方で、コスト構造の見直しも行っています。直近では2025年1月に約6%の人員削減を実施し、関連費用は560万〜580万ドルを見込むなど、収益見通しに合わせた合理化を進めています。また信用枠は最大1億5,000万ドルで追加増額余地もあり、必要に応じて買収や投資での市場拡大も視野に入れています。

同社は生成AIを含む技術革新に積極的に取り組んでいます。2023年に導入したリサーチ検索用の生成AIツール「Izola」をはじめ複数のAIイニシアティブを展開し、研究資産の利便性向上と提供価値の強化を目指しています。こうした取り組みと並行して、情報漏えいや誤情報といった生成AI固有のリスクに備え、CTO直轄のセキュリティチームやISOによる監視体制、リスク委員会による評価プロセスを整備しています。加えて2025年の無形資産償却は約870万ドルを見込むなど、技術投資とその会計上の扱いも明確に管理しています。