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FONAR CORPFONR
事業内容
FONAR CORPは、磁気共鳴画像装置(MRI)の設計・製造・販売とその保守サービスを主力に事業を展開しています。特に立位で撮影できるUpright®(スタンドアップ)MRIなどの「開放型」MRIで知られ、装置本体の販売に加えてソフトウェア改良やハードウェアのアップグレードにも力を入れています。
同社の主要な顧客は脳神経外科医や整形外科医、放射線科医、一般開業医のほか、診断イメージング施設や病院・クリニックなど医療機関です。収益は機器販売と、既設装置からの保守・アップグレード収入、さらに診療所の運営管理や請求代行などを行う管理サービスから上がっており、2024年度は管理事業が全体の大半を占める構成になっています(連結売上高約1.03億ドルのうち管理事業が約9455万ドル、機器関連が約833万ドル)。
事業は大きく「医療機器の製造・保守」と「診断イメージングセンターの運営管理」の二つのセグメントで構成されています。運営管理部門は子会社を通じて診療所の立ち上げ、運営、請求・回収、人材採用、ITやコンプライアンス支援まで幅広く担い、さらに他社製MRIの保守を手がける新子会社も設立してサービス領域の拡大を図っています。
経営方針
同社は安定した収益拡大と株主還元の両立を成長戦略の柱に据えています。医療機器事業と診療管理事業の二本柱で総売上は約1.03億ドル(2024年度)に達し、とくにHMCAによる診療管理事業が9455万ドルと大半を占めています。営業キャッシュフローは約1410万ドル、現金・現金同等物は5630万ドル、運転資本は約1.225億ドルと手元資金は厚く、同社は短期的には現行水準での事業継続と配当より内部投資・自社株買いによる資本効率向上を目指しています。具体的には取締役会が最大900万ドルの自社株買い枠を承認しており、2024年度は156,206株(約250万ドル)を取得・一部償却しています。
同社は重点投資分野として既存機器の保守・アップグレードと診療管理サービスを挙げ、これを差別化の核としています。設置済みの装置からのサービス収入は約760万ドルで安定しており、ソフトウェア改善やハードウェア改良を継続的に提供することで顧客の機器延命と満足度を高め、アップグレード需要を喚起しています。加えて、外部ソフトウェア会社(AIRS Medical)と提携してSwiftMRを既存顧客に展開し、画像品質と検査効率を高めることで差別化を図っています。さらに、Opus Diagnostic Managementという子会社を立ち上げ、他社製MRIの保守・修理市場にも参入してコスト管理と新収益源の確保を狙っています。
新市場開拓と事業拡大では、診療管理事業の拡張と設置台数の増加が中心です。HMCAが管理するMRIは2024年時点で42台(ニューヨーク25台、フロリダ17台)で、マーケティング人員の増員により検査件数を増やし、HMCA収入を伸ばしてきました。資本支出は2024年度で約92.6万ドルにとどまる一方、2025年度には既存拠点へ新たに2台のスキャナを設置する計画(うち1台は2024年10月完了予定、もう1台は2025年度第3四半期予定)を明示しており、国内での稼働拡大を通じて収益基盤を広げる方針です。国際売上の割合は製品で0.2%、保守で約7.4%にとどまり、当面は米国内の展開を主軸に据えています。
技術革新への取り組みでは、研究開発投資を継続的に増やしており、2024年度のR&D費用は1,735,949ドル(医療機器部門収益の約20.8%、総収益の約1.7%)で前年度比で約10.7%増加しています。開発は主にユーザーインターフェース(Sympulseプラットフォーム)の改良と、多姿勢患者台の動作制御ソフトの高度化、さらに臨床プロトコルの改良に注力しており、短時間で高画質を実現するプロトコル普及を通じて装置の競争力を高めています。こうした継続的なソフトウェア更新と外部製品の導入(SwiftMR)により、設置済み顧客からのアップグレード収益を確保しつつ「立位・多姿勢」を可能にするUpright® MRIの独自性を維持することを同社は目指しています。