FACTSET RESEARCH SYSTEMS INCFDS

時価総額
$110.6億
PER
金融情報サービスの大手。データ連結型プラットフォームとワークステーション、データフィード・APIを展開。2022年3月にCGSを19.32億ドルで買収。8,200社・21.6万人の投資専門家を抱え、米国・EMEA・APACで展開。

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企業概況
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同業種の日本企業
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事業内容

FACTSET RESEARCH SYSTEMS INCは、投資家や金融専門家向けに膨大な市場データと分析機能を一体化したプラットフォームを提供する企業です。同社はデスクトップやクラウドのワークスペースに加え、データフィードやAPI、リサーチ管理やオフィス連携ツールなどを通じて、企業調査やポートフォリオ分析、投資判断に必要な情報と解析を提供しています。

主要顧客は機関投資家、資産運用会社、投資銀行、ウェルスマネジメント事業者やプライベートマーケットのプロフェッショナルなど幅広い金融関係者です。同社の収益は主にサブスクリプション型の定期収入が中心で、独自データと第三者コンテンツを組み合わせることで高い顧客ロイヤルティを維持しつつ、複数のデータ供給先を確保してコストと供給リスクを分散しています。

事業は地域別のセグメント(米州、EMEA、アジア太平洋)で運営し、社内は機関投資家向け、ディールメーカー、ウェルス、パートナー/CGSといった業態別の製品群に再編しています。同社はワークステーション、データフィード、API、CRMやリサーチ管理システムのほか、CUSIPを管理するCGS事業や私募向けのCobalt買収などで商品ラインを拡充し、顧客の業務フローに深く組み込む戦略を進めています。

経営方針

FactSetは安定したサブスクリプション収益の拡大を成長戦略の中心に据えています。同社は2024会計年度に売上高を22.03億ドル(前年度比+5.6%)、オーガニック収益は5.7%の伸びを達成し、オーガニック年次サブスクリプション価値(ASV)+プロフェッショナルサービスは22.728億ドル(+4.8%)となりました。これらの実績を踏まえ、同社はクライアント数(8,200社超、利用プロフェッショナル数約21.6万人)を増やしつつ、営業利益率を高めることで株主還元(2024年度の配当額1.507億ドル、自己株式買戻し総額2.359億ドル、四半期配当を6%引き上げ)と成長投資の両立を目指しています。

重点投資分野としては「データの拡充」「クライアントの業務への深い組み込み」「AIの活用」に重点を置いています。同社は業界・専有・サードパーティのデータを網羅的に拡大し、リアルタイム市場データやファンドデータ、サステナビリティ関連データを強化することで差別化を図っています。加えて、ミドルオフィスのソリューションやマネージドサービスを通じて顧客の業務フローに深く入り込む戦略を取り、データの幅と接着力を競争優位性の源泉にしています。データ供給では主要カテゴリごとに原則二社以上の供給先を確保するなど、安定性確保の施策も講じています。

新規市場開拓と事業拡大は、買収と組織再編を通じて進めています。代表的には2022年のCUSIP Global Services(買収対価約19.32億ドル)で資本市場の識別子業務を取り込み、プライベートマーケット向けのCobalt(5000万ドル)や、投資家向けワークフローを拡張するためのIrwin(買収合意1.25億ドル、2024年10月)といった案件で領域を拡大しました。組織面では地域別セグメントの下に「Institutional Buyside」「Dealmakers」「Wealth」「Partnerships & CGS」といったファームタイプ別の提供体制を整え、フロントからミドルまで顧客接点を広げることで新たな収益機会を狙っています。

技術革新ではハイブリッドクラウドとAIを中核に据え、製品の差別化と運用効率の向上を図っています。同社は米国内に二つの冗長性あるデータセンターを運営するとともに主要クラウド事業者を活用するハイブリッド戦略を採用し、クラウド経由のデリバリーやAPI提供を強化しています。AIについては「FactSet AI Blueprint」を掲げ、同社の豊富なデータを大規模言語モデルやワークステーションの自動化機能に組み込むことで、リサーチ自動化、金融モデル作成、ピッチ資料作成などの次世代ワークフロー実装を目指しています。研究開発と内部用ソフトウェアへの投資も積極化しており、2024年度の設備投資は8570万ドル(前年から+41%)と拡大しています。