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Creatd, Inc.CRTD
事業内容
Creatd, Inc.はクリエイターに経済的機会を提供することを目的としたデジタル企業です。同社はVocalという厳選されたソーシャルプラットフォームを主軸に、クリエイターが作品を発表し、読者とつながり、サブスクリプションや小額課金で収益化できる環境を整えています。また、プラットフォームが生む一次データを活用して派生する事業機会も追求しています。
主要な顧客はコンテンツを作るクリエイター、記事や投稿を読むユーザー、そしてブランドや広告主です。同社の収益はプラットフォーム上のサブスクリプションやマイクロトランザクションに加え、ブランド向けコンテンツ制作やエージェンシー業務、自社で販売する消費者向け商品の売上など複数の柱で構成されています。ブランド案件や自社ブランドが成長すれば、プラットフォーム収益を上回る可能性もあります。
事業は大きくVocalのプラットフォーム事業、企業向けの「Vocal for Brands」などのブランド支援、PR・タレントマネジメントを行うエージェンシー、そして自社で運営する直販型の消費者ブランド群に分かれています。同社はCamp、Basis、Braveなどの食品・飲料ブランドや、投資関連のOrbitといった事業を買収・統合し、プラットフォームデータを元に各製品ラインの成長を図っています。
経営方針
同社はVocalを中核とする「クリエイター中心」の成長を目指しています。コアの収益源であるクリエイター・サブスクリプションやマイクロトランザクションの拡大を出発点に、Vocalから得られるファーストパーティのデータを活用して二次的な収益源(Vocal for Brandsによるブランド連携、社内保有の消費者向けブランド群の収益化)を育て、最終的にはコア収益を上回る規模に成長させることを目標としています。財務面では2022年に約3,560万ドルの純損失、累積赤字は約1.461億ドル、運転資本不足は約1,370万ドルと厳しい状況にあるため、経営は資本調達を並行課題と位置づけ、エクイティラインで最大1,500万ドルの活用枠や複数回の社債・転換社債、2022年~2023年にかけての計数百万ドル規模の出資を行い、12か月以内の追加資金調達を見据えています。
重点投資分野はデジタルプラットフォームと実需型のDTC(直接消費者向け)ブランドの両輪です。同社はVocalを広告・ブランド連携・商品企画のデータ基盤と位置づけ、Dune(飲料)、Basis(機能性飲料)、Camp(食品)、Brave(植物由来食品)などの買収・持分拡大を通じて製品開発から販売まで垂直統合を進めています。さらにWHEのタレント・広報機能やOrbitのアプリ型投資サービスなど、コンテンツ制作からマーケティング、金融サービスに至る多角化で差別化を図っており、Duneの持分を85%、WHEを95%に引き上げるなど過半数取得で統制を強化して事業シナジーを狙っています。人材維持のために非経営陣へ約7.5百万株、経営陣へ約1,825万株の株式報酬を付与するなどインセンティブ投資も実施しています(発行済み株式数や希薄化の影響には注意が必要です)。
新市場開拓と事業拡大では、Vocalのデータを起点にブランド向け事業や新たな販売チャネルを積極的に展開しています。具体的にはVocalを通じたブランド起点のコンテンツ収益化、買収したDTCブランドのクロスプロモーションによる販売拡大、Orbitを通じた若年投資家向けプロダクト参入、さらにはUpstream上でのNFT発行など、従来のメディアモデルを超えた複数チャネルでのマネタイズを試みています。資金調達面では2022年10月の投資契約により最大1,500万ドルまでの株式購入枠を確保しており、これを成長投資や買収・統合の原資に充てる計画です。ただし、短期的なキャッシュフローと追加資金の可用性は経営リスクとして顕在である点を経営は認識しています。
技術革新への取り組みは、Vocalを「拡張可能な基盤」として進化させることに集約されます。同社はプラットフォーム機能強化(サブスクリプション管理、マイクロ課金、ブランド向け解析ツール等)を優先投資し、取得した技術や人材をR&Dとして取り込む方針をとっています。Orbit買収の一部は進行中の研究開発案件として扱われるなど、技術取得を通じた即戦力化も進めています。知的財産は商標・特許出願で保護する一方、オープンソースや外部ソフトウェアにも依存しているため、決済処理や第三者ライセンスのリスク管理も並行して強化する方針です。以上の戦略は短期の資本的制約と競争環境の厳しさを踏まえつつ、プラットフォームと実需ブランドの相互作用で収益基盤を安定化させることを目指しています。