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CNA FINANCIAL CORPCNA
事業内容
CNA FINANCIAL CORPは、主に企業向けの財産・損害保険を中心に事業を展開する保険持株会社です。同社は企業向けの商業保険や保証(シュアティ)、専門職向けの賠償責任保険、医療関連の保険に加え、ワランティーやリスク管理、請求処理などのサービスも提供しています。
主要な顧客は中小~大企業、建設業や専門職(弁護士・会計士・建築士など)、医療機関や各種団体で、代理店やブローカー、管理型引受業者を通じて販売しています。同社の収益は保険料収入が中心で、そこに保険金支払いや引受コストを差し引いた引受損益と、保有資産から得られる投資収益が加わります。自然災害や大口訴訟、再保険の条件次第で損益が変動しやすい点も重要です。
事業は大きく専門リスク(Specialty)、商業(Commercial)、国際(International)の三つの保険セグメントで運営・報告しています。専門リスクは専門職賠償や保証、ワランティーなどを扱い、商業は中堅・中小企業や建設業、スモールビジネス向けの保険を中心に提供しています。国際部門はカナダや欧州での保険引受やロイズ経由の引受を含み、これらに加えて生命・団体保険や企業向けのその他事業を別セグメントで運営しています。
経営方針
同社は、株主価値の着実な向上と損害保険事業の収益性確保を成長の要として掲げています。2024年はグループの損益面で好調を維持しており、Property & Casualty(P&C)部門の純利益は約14.7億ドル、税引前の「基礎的な引受利益」(Underlying underwriting gain)は約8.4億ドルで、前年の約8.18億ドルから増加しました。大株主であるLoewsが約92%の議決権を保有しているため、資本配分や配当・自社株買いといった施策は慎重に行われ、発行済株式数は約2.71億株、従業員数は約6,500名となっています。これらを踏まえ、同社は引受の健全性を維持しつつ、投資収益と組み合わせた持続的成長を目指しています。
同社は重点投資分野として専門分野系の損害保険(Specialty)、商業保険(Commercial)および国際事業(International)を差別化の柱にしています。2024年の引受利益はSpecialtyが約2.49億ドル、Commercialが約1.71億ドル、Internationalが約7,600万ドルと、専門性の高い商品で利益を引き出しており、特に管理者賠償(D&O)・専門職賠償・医療関連の引受に注力しています。資産運用面ではプライベートエクイティや不動産、ヘッジファンド型のリミテッド・パートナーシップを保有しており、上位10件のパートナーシップ残高は約6.48億ドルです。同社は再保険やリスク移転(例:Berkshire系のNational Indemnityへの損失移転で上限40億ドルの枠を設定、うち累計譲渡は37億ドル)を活用して大口リスクを管理し、引受での差別化を図っています。
同社は海外展開と事業拡大にも戦略的に取り組んでおり、カナダ、英国、欧州(CNA Europe、Hardyなど)での営業拠点と、ロイズのSyndicate 382経由での引受にアクセスする体制を整えています。これにより、地域ごとのリスク特性に応じた商品開発と価格設定が可能になり、国際市場でのプレゼンス拡大を目指しています。さらに、保険料収入の拡大と引受ポートフォリオの最適化を両立させるため、流通面では独立保険代理店やブローカー、MGA(管理型引受業者)との関係強化を重視しており、新規顧客獲得や既存顧客向けの追加契約を推進しています。
同社は技術革新を成長と効率化の重要な手段と位置づけており、引受・査定・支払業務のデジタル化やデータ分析基盤への投資を進めています。市場リスク管理の面では、金利・株価・為替変動に対する感応度を定期的に評価しており、金利ショック(100〜150ベーシスポイント)、株式下落(10〜25%)、為替変動(10〜20%)といったシナリオを想定した感応度分析を実施しています。加えて、顧客向けチャネルのデジタル化、クレーム対応の集約・自動化、サイバーセキュリティ強化や人材育成(研修・インターン制度・リーダー育成プログラム)にも投資を行い、データと人材を組み合わせた差別化を図っています。これらにより、同社はリスク選別力と運用の安定性を高めることを目指しています。