SIERRA BANCORPBSRR

時価総額
$4.6億
PER
商業不動産中心の預金・貸出を行う地域銀行の有力企業。商業不動産融資(総貸出23億ドルの78.2%)やオンライン口座開設・モバイル入金を展開。NASDAQ上場、2018年の買収実績あり。カリフォルニア州中心、ATMネットワーク55,000台で米国内外利用可能。

事業内容

SIERRA BANCORPはカリフォルニア中心に事業を展開する銀行持株会社で、傘下の銀行を通じて預金受入と貸出を中心とした地域密着型の銀行業務を行っています。主力サービスは商業不動産や中小企業向けの各種ローンと、個人向けの預金口座や決済サービスです。同社はインターネットやモバイルを使った口座管理や入金機能も整備しています。

主要な顧客は中小企業や商業不動産の所有者、農業関連事業者および個人顧客で、収益の大半は貸出からの金利収入に依存しています。特に不動産担保ローンがポートフォリオの大部分を占め、預金は運転資金や貸出の原資になっています。手数料やサービス収入も補助的に業績に寄与しています。

事業は大きく商業不動産ローン、住宅ローン向けの倉庫型融資(モーゲージ倉庫)、その他の商業・農業ローン、消費者ローンに分かれています。預金商品は当座・普通預金、普通貯蓄、定期預金、退職金口座など幅広く、法人向けにはリモート入金や給与代行といった業務支援サービスも提供しています。支店網と現金自動預払機(ATM)、提携する全国ネットワークや電子決済回線を活用して顧客利便性の向上に努めています。

経営方針

同社は持続的な収益拡大と株主還元の強化を目指しています。2024年の連結総資産は約36億ドル、総貸出金は約23億ドル、預金は29億ドルと前年から5%増加し、純利益は4056万ドル、1株当たり基本利益は2.84ドルに達しました。これらの実績を踏まえ、同社は四半期合計で約0.94ドルの配当を継続するとともに、株式の自社株買いも積極的に実施しており(2024年に197,247株、直前年に439,412株を取得)、資本配分を通じて株主価値の向上を図っています。

同社は地方密着の商業不動産融資を中核に据えた投資を重視しています。貸出ポートフォリオの約78%が不動産担保型融資で、モーゲージ倉庫融資が約14%、その他の商業融資が約7.6%を占めており、不動産関連収入だけで2024年に約8,310万ドル(純金利その他収入の約57%)を確保しています。差別化策としては、地域に根差した対面営業と柔軟な融資条件、地元での採用や研修、従業員向けの株式報酬制度(2023年プランで当日残り306,374株を付与可能)など人的資源への投資を通じて、コミュニティ銀行ならではの関係構築を強化しています。

同社は買収を含む外延的な成長にも再注力する方針を掲げています。直近の全店買収は2018年であるものの、同社は自社の営業エリア内外での支店取得や新規出店による拡大を検討しており、再び買収を成長戦略の一部として再開する意向を示しています。具体的には、モーゲージ倉庫枠として2023年末時点で約2.045億ドルの未実行枠を有しており、買収や貸出拡大の資金余地を確保する一方で、買収に伴う資産の質評価や統合コスト、地域評価(CRA評価)といったリスク管理も併せて進めています。

同社はデジタル化とリスク管理の高度化を進めています。口座のオンライン開設、モバイル入金、オンライン貸出、リモート入金やコールセンターなど多様なチャネルを整備するとともに、Allpoint提携により55,000台以上のATMに対する手数料無料アクセスを提供しています。内部的には与信や金利リスクのシナリオ分析やストレス試験を定期的に実施しており、残高横ばいの想定では年約940万ドルの純金利収入減、短期金利が300ベーシスポイント低下するシナリオで純金利収入が約11%減少するとの試算をもとにモデルを改良し、与信準備や資産負債の組成を調整する取り組みを強化しています。