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事業内容
ANSYS Inc. はエンジニアリング向けのシミュレーションソフトを開発・販売する企業です。同社は設計段階で製品の動作や耐久性を仮想試験するソフトを主力とし、複数の物理現象を同時に解析できるソリューションをオンプレミスとクラウドで提供しています。これにより試作回数やコストを抑え、開発スピードを高める支援をしています。
主要顧客は自動車、航空宇宙・防衛、半導体、エネルギー、医療機器、産業機械などの製造業や研究機関です。同社はソフトウェアライセンスやサブスクリプション、保守・アップデート料に加え、導入支援やコンサルティングなどのプロフェッショナルサービスで収益を得ています。販売は直販と世界的なチャネルパートナーを併用しており、チャネル経由の売上が一定割合を占めています。
事業は報告上は単一セグメントで運営していますが、製品ラインは機械構造解析、流体解析、電磁解析、システムレベルのシミュレーションといったカテゴリに分かれます。同社はこれらを連携させる多物理場プラットフォームや高性能計算・クラウド環境、教育・トレーニング支援にも注力しており、製品数の拡大、利用者層の拡大、より大規模な計算需要の取り込みを成長の軸としています。
経営方針
ANSYSは「Pervasive Insights」と呼ぶ成長戦略の下で、シミュレーションを製品開発の全段階に浸透させることを目指しています。同社は2024年に売上高を約25.45億ドルにまで拡大し、前年から12.1%(為替一定ベースで13.2%)の成長を実現しました。中でもサブスクリプション型のリースライセンス収入は20.7%増の約9.49億ドルと高い伸びを示しており、既存顧客への追加販売を中心にサブスクリプション比率の拡大を図ることで、安定した収益基盤の強化を目指しています。
同社が重点的に投資する分野は明確で、研究開発の拡充と販売体制の強化に注力しています。2024年の研究開発費は約5.28億ドルで、機能拡張や使いやすさの改善、新領域への対応を進めています。また販売・管理費も増やしており、グローバルな営業・チャネル投資や事業基盤の整備を通じて顧客接点を強化しています。技術面では複数の物理現象を同時に解析できるソフト群と、オンプレミス/クラウド両対応の計算基盤を差別化要素とし、顧客が大規模・複雑な解析を行う際にもANSYSのライセンスを多く必要とするビジネスモデルを追求しています。
新市場の開拓と事業拡大では、買収と戦略的投資を活用してポートフォリオを広げています。直近では自動車分野強化のための買収などを実施し、2024年には買収関連費用として約5,280万ドルを計上しました。加えて、契約で将来にわたり認識される売上残高(残務債務)は総額約17.18億ドル(うち翌12か月で認識予定が約10.29億ドル)と堅固なバックログを抱えており、既存顧客への深耕と新規産業・用途向けの展開を両輪で進める計画です。販売は直販と独立チャネルのハイブリッドモデルを維持し、チャネル育成を通じてグローバルな拡販を続けています。
技術革新への取り組みは同社戦略の中心で、基盤技術の継続的な改良に加え、人工知能やクラウドベースの大量計算、教育やユーザー体験の簡素化を通じて「より多くの製品、より多くの利用者、より多くの計算」を実現しようとしています。具体的には研究開発投資の継続、外部技術の取り込みや提携、学界・教育機関への支援による人材育成を通して市場の裾野を広げる方針です。同社はこの組み合わせで差別化を図り、製品ライフサイクル全体でのシミュレーション活用を拡大することを目指しています。