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AMETEK INCAME
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事業内容
AMETEK Inc.は精密計測機器や産業用部品を設計・製造するグローバル企業です。同社は産業向けの電子計測器や制御機器、画像・光学製品、RF増幅器に加え、モーターや精密加工部品などのハードウェアと、それらに付随するサービスを提供しています。製品は性能と信頼性を重視し、専門用途の顧客に導入されています。
主要顧客は航空宇宙・防衛、医療機器、半導体、エネルギーや一般産業の企業、ならびに政府機関などです。同社は製品販売が収益の中心で、検査や保守、試験サービスなどの付帯サービスも収益に貢献しています。国際売上比率は高く、2024年は約47%が米国外で発生しており、海外事業が全体の収益構造で重要な役割を果たしています。
事業は大きくEIG(電子計測グループ)とEMG(電機機械グループ)の二つの事業グループで構成されています。EIGは精密計測器や画像・光学システム、試験・計測関連製品を中心に展開し、EMGはモーターや動力伝達部品、医療向けの精密部品などを手がけています。同社は戦略的な買収と生産効率改善を通じて製品ラインを拡充し、持続的な成長を目指しています。
経営方針
同社は「AMETEK Growth Model」を核に、サイクル全体で年率高位の一桁台の売上成長と二桁台の1株当たり利益(EPS)成長を目指しています。2024年は売上69.4億ドル、希薄化後EPSは5.93ドルと過去最高を更新し、営業キャッシュフローから見たフリーキャッシュフローは約17.0億ドルを記録しました。財務面ではネット負債比率を引き下げ、2024年末のネット・デット・トゥ・キャピタルは15.0%に低下しており、設備投資は純売上比で約1.8%(2024年)から2025年は約2%を見込むなど、成長と財務健全性の両立を目指しています。株主還元面では配当を継続的に引き上げ、2024年2月に四半期配当を12%増の0.28ドルへ、さらに2025年2月に0.31ドルへ引き上げ、自己株買い枠も拡大しています。
同社は差別化の源泉を「効率化と高付加価値製品の組合せ」に置いています。生産ラインの無駄を削減し、部品調達をグローバルで最適化することで競争力を高める一方、設計段階から品質とコストを同時に改善する仕組みを導入して利幅を拡大しています。研究開発・エンジニアリング投資も重視しており、2024年の研究開発費は約3.72億ドル(うちR&D費用が約2.37億ドル)と継続的に積み増しています。こうした取り組みにより、同社は顧客の課題を解く「差別化された技術製品」を多くの事業で提供しており、収益性の高いニッチ領域での地位を強めています。
新市場開拓と事業拡大は買収と国際展開で進めています。同社は2020年以降、戦略的な買収を積極化しており、2020年から2024年までに14件、年換算売上で約14億ドル相当を取り込んできました。近年の大口案件では2023年のParagon Medical買収(約22.4億ドルの現金支出)や、2024年10月のVirtek買収(約1.18億ドル)などがあり、2025年初めにはKern(年間売上約5,000万ユーロ)を取得しています。国際売上は全体の約47.4%に達し、20カ国に生産拠点を持つことで市場浸透と供給の近接性を図りつつ、商業手段としては最大23億ドル規模のコマーシャルペーパー枠など多様な資金調達手段を整え、今後も買収を含む拡大機会を追求しています。
技術革新への取り組みは新製品開発と設計最適化の両面で進められています。同社は年間の研究開発投資を増やし、新製品投入を通じて差別化ポートフォリオを拡充してきました。設計段階からコストと性能を両立させる手法やデジタル化の活用により、新製品の立ち上げ速度と品質を高め、医療、半導体、航空宇宙、電力といった成長分野での技術的優位性を維持しようとしています。加えて、環境配慮型の製品群やサステナビリティ関連ソリューションへの取り組みも進めており、顧客の脱炭素ニーズに応える製品開発が今後の差別化要素になると同社は位置づけています。