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AUTOMATIC DATA PROCESSING INCADP
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事業内容
AUTOMATIC DATA PROCESSING INCは、企業向けの給与計算と人事管理(HCM)を中心にサービスを提供する世界的な大手企業です。クラウドを利用した給与支払い、勤怠管理、福利厚生や人材育成の機能を組み合わせたソリューションで、国内外の人事業務を一元化できる製品群を持ちます。
同社の顧客は中小から大企業まで幅広く、契約に基づく継続的な収入が事業の柱になっています。顧客関係は長期化しやすく、Employer Services部門では平均で約13年、PEO事業では約6年の顧客維持を見込んでおり、個別の大口顧客に依存しない安定した収益構造を築いています。契約の初期期間は一般に2〜7年程度ですが、同社は将来見込み収入を唯一の業績指標とはみなしていません。
同社は事業を主にEmployer Services(給与・HRソリューションとアウトソーシング)、Global Solutions(国際給与・人事管理)、およびPEO(プロフェッショナル雇用組織)などのセグメントで展開しています。ADP Global Payrollや各国向けのHCM製品、勤怠やタレント管理ツールにより企業の業務を自動化し、最近はWorkForce Softwareの買収で大企業向けの勤怠管理機能を強化している点も特徴です。さらに、膨大な従業員データを扱うため、法令順守やデータ保護への投資も重要な事業要素になっています。
経営方針
同社は安定した定期収入と高い顧客維持率を基盤に、収益の持続的成長を目指しています。ファイナル・イヤーの業績では純利益が約40.8億ドル(前年から約9%増)、希薄化後1株当たり利益が9.98ドル(約10%増)となり、調整後営業利益率は約26.0%を確保しています。契約期間は一般に2〜7年で、Employer Servicesの顧客維持期間は平均約13年、PEO事業は約6年と推定されており、これらの長期関係を通じたアップセルとクロスセルで売上成長を図っています。加えて自己株式買い取りなど資本配分も継続しており、直近では約440万株を平均289.11ドルで取得しています。
同社は研究開発と人材育成に重点投資することで差別化を図っています。研究開発費は2025会計年度で約13.88億ドル、2024会計年度で約12.76億ドルと増加傾向にあり、新製品開発、既存技術の保守、そして生成型人工知能への投資を含んでいます。人材面では約67,000名のグローバルな従業員を擁し、採用時の丁寧なオンボーディングや継続的な教育、リーダー育成や後継者計画に注力しているため、サービス品質と顧客対応力で競合との差別化を図っています。また、データ保護や越境移転に関してはBinding Corporate Rulesなどの厳格な枠組みを導入し、コンプライアンス力も競争優位の一端としています。
同社は新市場開拓と事業拡大において、グローバルなカバレッジと戦略的買収を活用しています。HCMやグローバル給与ソリューションは140か国以上で提供され、米国外で約1,600万人の従業員への支払いを処理している点が強みです。成長の一例として、2024年10月に大手の勤務管理ソフトウェア企業WorkForce Softwareを総額約11.71億ドル(簿価現金取得額は約11.58億ドル)で買収し、技術・顧客基盤・ブランド価値(技術115百万ドル、顧客関係170百万ドル、商標7百万ドルの評価)を取り込んで大企業向けソリューションを強化し、相乗効果を目指しています。加えてPEO事業や地域別のHRO/グローバルソリューションを通じた市場深耕も継続しています。
同社は技術革新を通じて製品ライフサイクルを延ばし、顧客の業務効率化に貢献することを目指しています。製品開発は既存機能の拡張を中心に行い、新機能が短期的に大きな売上変動をもたらすよりも、継続的な価値提供で定期収入を高める方針です。内部向けソフトウェア開発では次世代プラットフォームを10年で償却するなど長期視点での投資を行い、生成AIの活用やクラウド/オンプレミスの柔軟な提供、サイバーセキュリティや各国のAI規制対応(例:EUのAI法)にも注力しています。こうした技術とデータ、コンプライアンスを組み合わせることで、同社は顧客の複雑な人事・給与業務のアウトソース先としての競争力を維持・強化しようとしています。