ACURA PHARMACEUTICALS, INCACUR

時価総額
PER
乱用抑止技術の研究開発の新興企業。Aversion、Impede、LIMITx技術を用いたFDA承認品1品とImpede搭載市販品2品を展開。2017年7月の私募で主要株主が出資、2019年以降AD PharmaとLTX-03開発契約を締結。米国・カナダでの商業化とEU・日本・韓国への拡張オプション保有。

事業内容

ACURA PHARMACEUTICALS, INCは、医薬品の安全な使用に特化した技術と製品を開発する企業で、服薬の乱用や誤用を抑えることを目的とした独自技術を保有しています。主力の技術にはAversion、Impede、LIMITxがあり、これらを組み込んだ医薬品候補の研究開発と米国拠点での一部製造・保管を行っています。

同社は自社で大量販売するよりも、製品を戦略的パートナーにライセンスして商業化してもらうことで収益を上げています。ライセンス料、売上に応じたロイヤルティやマイルストーン収入が主要な収益源で、代表的なパートナーにAssertio、KemPharm、MainPointe/AD Pharmaなどがいます。

同社の製品群では、Impedeを使った店頭向けのかぜ薬Nexafedシリーズ、Aversionを活用した乱用抑止型の処方薬、そしてLIMITxを使った過剰摂取リスク低減を目指す候補(例:LTX-03)といったラインが並びます。研究や臨床、製造では自社設備と外部の臨床機関を併用し、FDAやDEAなどの規制対応が事業推進上の重要な要素になっています。

経営方針

同社は成長戦略として、自社の安全性付加技術を軸にライセンス収入とロイヤリティで事業拡大を図ることを目指しています。具体的には、既に承認・発売済みのアベーション技術製品やインピード技術を含むポートフォリオを活用し、最重点パイプラインであるLIMITx技術に基づく主力候補品LTX‑03(ヒドロコドン/アセトアミノフェン)の開発を進め、同薬のNDA(新薬申請)受理を重要なマイルストーンとして設定しています(AD Pharmaとの契約ではNDA受理期限が2023年11月30日に延長されています)。同社は直接販売よりも戦略的提携による商業化を重視しており、過去にはOxaydoやNexafedなどをライセンシーへ供与してきた経験があります。

同社は重点投資をLIMITxをはじめとする薬物安全化技術とその臨床開発に振り向け、差別化は「過量摂取や悪用を防ぐ機能」によって図ることを目指しています。具体的にはLIMITxやインピード、アベーションといった特許技術を核に製剤設計と臨床試験を進め、外部の臨床開発機関(CRO)や委託製造業者を活用してコスト効率を保ちながら進捗を出す方針です。従業員は9名と小規模で平均在籍年数が約20年である点を活かし、内部は低コストに保ちつつ外部資源で臨床・商業化を補強しています。

同社は新市場開拓や事業拡大を、ライセンス展開と提携で行うことを目指しています。現状、AD Pharma(およびMainPointeを含む関係者)はLTX‑03の米国内独占商業化権を保有し、MainPointeには欧州、日韓への拡大オプションも付与されています。こうした地域拡大や追加製品のライセンス化で収益基盤の多角化を図る一方で、資金面の制約にも対処する必要があり、同社は関連当事者からの借入(例:2022年11月に合算した約3.47百万ドルの担保付貸付)や過去のライセンス料(かつて月額最大35万ドル→20万ドル)等を受け入れて運転資金を確保してきました。ただし現金残高が2023年6月時点で約16.5万ドルと限られているため、提携先からの開発負担や追加資金調達が短期的な事業継続に重要です。

同社は技術革新への取り組みとして、LIMITxを中心に特許出願と臨床開発を継続することで市場での差別化を図ることを目指しています。具体的な施策としては、AD PharmaによるLTX‑03の開発費負担や当社が外部CROで進める臨床・規制対応、製剤改良や品質管理の強化を挙げており、これらは将来のロイヤリティやマイルストーン収入につながる見込みです。加えて、DEA規制やFDA承認の対応、製品責任保険など規制・リスク管理面にも投資しており、これらを通じて技術の保護と商業化可能性の向上を図っています。