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AMBEV S.A.ABEV
事業内容
AMBEV S.A.は南米とカナダを中心にビールの醸造・販売を主力とし、清涼飲料やノンアルコール飲料も製造・販売する飲料大手です。同社はラガーやエールなど多様なビールブランドを保有し、幅広い消費場面に向けた製品ラインを展開しています。
主要顧客は小売店や飲食店、卸売業者に加え個人消費者で、販売は直販と専属の第三者配給網を組み合わせて行っています。収益構造は地域別の売上高と販売量に依存しており、ビールが売上の大半を占める一方で清涼飲料や即配・企業向けサービスも収益に寄与しています。
同社は事業をブラジル、中央アメリカ・カリブ、ラテンアメリカ南部、カナダの四つのセグメントで運営し、各地域で直接販売とディストリビューターを使い分けています。さらに消費者向けの即配サービスや企業向けのデジタルプラットフォームを通じて利便性を高め、製品品質管理やコスト効率、持続可能性の取り組みにも力を入れています。
経営方針
同社は継続的に株主価値を創造することを目指しています。実際に2024年の連結売上高は約894億5,270万レアル(R$89,452.7 million)となり、前年から約12%増加しました。一方で販売量は約1億8,192万ヘクトリットルとほぼ横ばいであるため、同社は価格、ミックス改善、販路最適化を通じた収益成長を重視しています。加えて、同社は環境分野で明確な数値目標を掲げており、購入電力の再生可能化やバリューチェーンの脱炭素化を進めることで、2017年比で2025年までにCO2排出強度を25%削減することを目指しています(2024年は既に21.3%削減、9カ国で再生可能電力の契約を実施)。さらに長期目標としてバリューチェーンでのネットゼロを2040年に達成する野心も示しています。
同社は重点的にブランド、流通、コスト構造に投資することで差別化を図っています。高品質な製品群と幅広いブランドポートフォリオを基盤に、地域ごとの最適なルート・トゥ・マーケット(直販と専属第三者流通の併用)を組み合わせて市場シェアを拡大しています。生産面ではアルミ、砂糖、コーンなど主要原料の価格変動に備えたヘッジや、経費管理のためのゼロベース予算制度を導入しており、不要な支出を削減する仕組みを整備しています。資本配分は慎重に行い、配当・利息支払いによる株主還元と設備投資の両立を図るとともに、機動的な自社株買いも実施しており、たとえば2023年6月には780,900株、同年5月には482,575株を市場で取得しています。
新規市場開拓と事業拡大ではデジタル化による販売チャネルの拡大を重視しています。消費者向けにはZé Deliveryが700以上の都市で利用可能となり、2024年の注文件数は6,600万件、月間アクティブユーザーは500万人に達しています。卸・小売向けにはBEESというB2Bプラットフォームで受注・在庫・販促を一元化し、顧客ごとの提案や受注追跡などのサービスで商談効率を高めています。地域戦略ではブラジルを軸に中米・カリブ、ラテン南部、カナダの四本柱で展開しており、ドミニカ共和国ではTaDaの注文数が2024年に35%増加するなど地域ごとに柔軟な展開を行う一方、アルゼンチンではマクロ環境の影響で直接施策を見直すなど適応的に対応しています。
技術革新への取り組みは製品品質向上とリスク管理の両面で進められています。同社は日常的に1,300を超える品質管理ポイントと370以上の検査を生産ラインで実施しており、研究開発チームが原料から醸造工程の改善を続けています。またサイバーセキュリティにも重点投資しており、地域のセキュリティ運用センターと24時間365日のグローバルチームが連携して侵入テストや訓練を年次で実施しています。デジタル面ではBEESやZé Deliveryでのデータ分析を通じて需要予測や顧客提案を自動化し、同社はこれらの技術を活用して商品供給の安定化、コスト低減、そしてデジタル収益化をさらに進めることを目指しています。