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アルバックJP:6728
事業内容
アルバックは真空技術を基盤に、半導体やディスプレイ、エネルギー分野などで使う製造装置や部品、材料の開発・製造・販売を行っている総合メーカーです。主力は薄膜を形成するスパッタリングや真空蒸着、エッチングなどの真空プロセス装置と、それらを支える真空ポンプや制御機器、材料です。
同社の主要顧客は半導体メーカーやディスプレイメーカー、電子部品メーカーで、最終的にはスマートフォンや自動車、家電に使われる部品につながっています。収益は大型の装置販売が中心で受注変動がある一方、部品・材料の販売や保守・サービスで安定収入を確保しています。
同社の事業は大きく真空機器事業と真空応用事業に分かれ、前者は製造装置や真空ポンプ、計測・制御機器などを扱い、後者は成膜材料や表面分析装置、受託成膜加工などを扱っています。装置の導入から材料供給、アフターサービスまで一貫したソリューションを顧客に提供しています。
経営方針
同社は2026年から2031年までの新中長期経営計画「バリューアッププラン」に基づき、成長と収益性の両立を図っています。具体的には連結売上高を2031年6月期に3,600億円、営業利益を同じく790億円まで引き上げることを目標とし、まず2028年の中間目標として売上2,600億円、営業利益390億円を掲げています。加えて半導体・電子関連ビジネスの売上比率を現在の約36%から2031年には60%以上に高め、ROEを16%にまで向上させることを同社は目指しています。
重点投資分野は半導体製造装置と電子部品製造装置で、ここに経営資源を集中させています。実績のあるハードマスクや金属成膜の技術を基盤に、量産工程で採用される認定プロセス(POR)の数を増やして市場シェアを拡大する方針で、半導体製造装置と電子部品製造装置それぞれで2031年に受注1,000億円以上を目指しています。加えて材料供給や保守を含む一貫ソリューションと、量産ライン向けの検査・分析装置投入で競合と差別化を図ります。
新市場開拓や事業拡大については、事業間のシナジーと外部連携を重視しています。研究開発向けで培った分析機器のノウハウを量産検査に移行し、検査装置市場でのグローバルポジション確立を狙うとともに、次世代パワー半導体や先端パッケージング、光電融合分野への展開を進めます。成長を加速するための開発投資に加え、必要に応じてM&Aを活用して技術や販路を獲得する計画です。
技術革新と事業基盤の強化にも重点を置いています。製造では部品の標準化やモジュール化を進め、モジュラーデザインにより先行手配や計画生産を可能にして製造リードタイムを大幅に短縮すると明記しています。併せて低採算事業の整理や生産拠点の集約で固定費を圧縮し、持続可能性の観点からはCO2排出削減や環境配慮型製品の開発、人材育成やガバナンス強化にも取り組むことで、長期的な企業価値向上を目指しています。