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クラダシJP:5884
事業内容
クラダシは「ソーシャルグッドカンパニー」を掲げ、インターネット上のソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」を中心に、廃棄予定の商品を安価で消費者に届けることでフードロス削減を目指す事業を展開しています。同社は売上金の一部を社会貢献団体へ寄付する仕組みを取り入れ、エシカル消費を促すプラットフォーム運営を行っています。
同社の主要な顧客は会員登録した消費者と、余剰在庫を抱えるパートナー企業であり、売買による販売収入が事業の中心です。在庫を先に仕入れて自社倉庫から配送する在庫型と、注文を受けてからパートナーに発注するマーケットプレイス型の二つの取引形態を使い分け、加えてパートナー向けのブランディング支援などでも収益を得ています。提出時点では売上高の大半が「Kuradashi」によるものです。
事業セグメントは、主力のソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」に加え、実店舗や期間限定出店で会員を誘導するKuradashi Hub、パートナーのブランド価値向上を支援するKuradashi Storesのブランドスタジオサービスなどで構成されています。近年は冷凍宅配弁当の「Dr.つるかめキッチン」やオンライン料理教室の「L'atelier de SHIORI」を子会社化し、健康志向の食サービスや家庭内での食品ロス削減に向けた取り組みを強化しています。同社はこれらを通じてオンライン・オフラインの接点を広げ、社会貢献と事業成長の両立を図っています。
経営方針
同社は中期経営計画で「フードロス削減のインフラに」を掲げ、2027年6月期までに売上高100億円、EBITDA(営業利益ベースの現金的価値指標)5億円を目標としています。会員数の増加や月間UU(購入したユニークユーザー数)、一人当たりの平均購入額(ARPPU)を高めることで売上成長を図る方針です。また、社会貢献の実績として2025年6月期の支援金は24,665千円、累計支援金は168,849千円に達しており、事業成長と社会的インパクトの両立を重視しています。
重点投資分野は主にEC基盤の強化とサプライチェーン機能の拡張です。販売面では在庫型とマーケットプレイス型の取引を併用し、広告・販促とCRM投資で新規会員やコアファンを創出するとともに、SKU(取り扱い品目)拡充やUI/UX改善で購入率を高めます。供給側にはブランド価値を守りながら余剰在庫を再流通させる提案を行い、パートナー向けにEC運営ノウハウやブランディング支援を提供することで差別化を図ります。物流面では全国150以上の倉庫ネットワークや三温度帯対応のフルフィルメント機能を整備し、安定的な配送と品質管理を実現します。
新市場開拓と事業拡大は複線的な収益化を狙っています。日本郵便との資本業務提携で郵便局チャネルや非デジタル層への販路拡大、冷凍弁当の共同開発やサブスクリプションの導線整備を進めるなど、オンラインとオフラインを結ぶ施策を実行します。さらに、既存領域と親和性の高い周辺事業をKuradashi Stores/Hub/Base/Forecastなどのサービスで創出し、必要に応じてM&Aで非連続の成長を取り込みます。M&Aは黒字事業を合理的な取得条件で選び、買収後も経営支援で成長させる方針です。加えて再生可能エネルギー分野では系統用蓄電池の自社保有を通じた新規収益源の確立と、将来的に食ビジネスとのシナジー創出を目指しています。
技術革新への取り組みではデータ基盤と業務のデジタル化(DX)を重視しています。パートナー企業、同社、会員のデータを一元管理して生産計画や需給バランスを予測する仕組みを作り、在庫から販売までのリードタイム短縮や仕入れの最適化に結び付けます。具体的には在庫・注文管理システム(OMS)や倉庫管理システム(WMS)の連携、予測モデルやAIの活用、サーバー増強によるサービス安定化、そして情報管理体制の強化を進め、フードロス削減と事業拡大を同時に支える技術基盤を整備していきます。