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フライヤーJP:323A
事業内容
フライヤーは「本の要約サービス flier」を中心に、ビジネス書の要約コンテンツや動画、特集記事を配信するプラットフォームを運営しています。同社は厳選した書籍を1冊約10分で読める分量に要約し、テキストと音声で配信することで、通勤や休憩などのすきま時間での学びを支援しています。
主要な顧客は法人と個人で、特に法人向けサービスが全社売上の2/3超を占めています。同社は月額課金のサブスクリプションモデルで収益を得ており、人事・研修担当を通じた導入を拡大して安定した収入基盤を築いています。累計法人契約社数は1,207社、会員数は約123万人に達しています。
事業はエンタープライズとコンシューマの二つのセグメントに分かれており、法人向けは管理者機能や閲覧状況の可視化、社内向けの推薦リストなど企業の学習施策を支える機能を備えています。同社は施設向けにWi-Fi経由や書店の二次元コードで要約を提供する取り組みや、研修プログラム、「flier成長組織ナビ」といった組織向けサービスも展開しています。個人向けは読み放題や月ごとの利用制限プラン、オンラインコミュニティや講座で顧客接点を強化しています。
経営方針
同社はエンタープライズ事業セグメントの拡大を成長の軸に据え、中長期で企業価値の向上を目指しています。現在、法人向けが売上の約2/3を占め、累計法人契約は1,207社、会員数は約123万人、要約コンテンツは3,900冊超を有しています。国内のHRテック市場は2024年に1,442億円、年平均成長率32.6%で拡大し2027年には3,200億円規模が見込まれるため、同社はこの成長市場でのシェア拡大を狙っています。
重点投資分野はプロダクト開発、営業・顧客対応、人材採用・育成にあります。具体的には「flier business」の導入拡大に向けてセールスとカスタマーサクセスへの人員投資を進め、MRR(月次継続収益)やARPA(1社あたりの月次平均売上)の向上、解約率の低下に取り組んでいます。差別化は出版社・著者・書店との強固なネットワークと蓄積された要約資産、そして累積ユーザーデータを活用した質の高いコンテンツ提供と推薦機能の強化で図っています。
新市場開拓や事業拡大では、大企業(従業員500名以上)への導入を強化して一件あたりの導入規模と単価を上げる一方、中小・中堅向けには代理店網の構築で幅広く展開します。さらに新規事業「flier 成長組織ナビ」の有償化と既存サービスとのクロスセルを進めることで新たな収益柱を確立し、研修プログラムや書店連携といったチャネル多様化で法人契約の拡大を目指しています。
技術革新については、要約品質やレコメンド精度を高めるために自然言語処理や統計分析を導入し、AIの活用を社内横断で推進しています。具体施策として、従業員の約4割がディープラーニング関連の資格(G検定)を取得済み(2025年2月時点)で、これを背景に推薦アルゴリズムや閲覧傾向の可視化を強化します。加えてシステム投資やセキュリティ対策を進め、安定稼働を確保しつつデータを活用した顧客の学習効果向上を図っています。