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トライアルホールディングスJP:141A
事業内容
トライアルホールディングスは、ディスカウントストアの全国展開とそれに紐づくリテール向けのソリューション事業を手掛ける持株会社です。主力は「TRIAL」ブランドの店舗群で、生鮮を中心に日用品から家電や衣料まで幅広い商品を揃え、利便性と低価格を武器にワンストップショッピングを実現しています。
同社の主要な顧客は一般消費者で、店舗での物販が収益の柱になっています。加えて小売事業者や食品・消費財メーカー向けに、Skip CartなどのリテールAIプロダクトを月額やライセンス収入の形で販売しており、店舗売上とソフトウェアサービスの両面で収益を得ています。2025年6月末時点で店舗数は合計352店(メガ・SuC・smart・小型店の合計)、Skip Cartは導入店舗258店、導入台数21,561台、マンスリーユーザーは約450万人といった導入実績があります。
事業は大きく「流通小売事業」と「リテールAI事業」、およびリゾート等を含む「その他」に分かれます。流通小売事業では複数フォーマットで出店し、自社の加工センターやプライベートブランドで差別化しながらEDLP(毎日低価格)を実践しています。リテールAI事業では現場のニーズを反映した開発を行い、Skip Cart、MD-Link、カメラソリューションやインストアサイネージなどを実店舗で実証しながら他社へ導入して収益化しています。
経営方針
同社は店舗網の拡大と収益性の向上を両輪とする成長戦略を掲げています。主要な評価指標として連結売上高成長率、既存店売上高成長率、営業利益率、新規出店数を重視しており、2025年6月末時点での店舗数は合計352店を数えます。流通小売売上高に占める生鮮の構成比は30.5%、プライベート・ブランド(PB)は約18.4%と既に一定の比率を確保しており、同社は既存店の改装や新規出店を通じてこうした比率をさらに引き上げ、毎年およそ30店程度の改装を続けることで売上成長と収益改善を図ることを目指しています。
重点投資は「食」を軸にした差別化にあります。同社は精肉加工を行うプロセスセンターを7カ所、惣菜加工のセントラルキッチンを6カ所保有(2025年6月期末)し、自社の工場(お茶工場や水工場)と組み合わせて製造小売業への転換を進めています。こうした垂直統合により、高付加価値の惣菜やPB商品の原価管理を強化し、毎日低価格を維持しつつ商品魅力で差別化することが可能です。また、スーパーセンターを主軸にメガセンターや小型店(TRIAL GO)をエリア内で相互補完させる「ドミナント展開」を進め、物流や配荷の効率化によって競合優位を確保しています。
新市場開拓や事業拡大では九州を核としたドミナント戦略を維持しつつ、九州以外の地域へネットワークを拡大する方針です。自社出店だけでなく、事業譲受やパートナーシップも成長手段と位置づけており、2023年の事業譲受実績のようにインオーガニックな拡大も視野に入れています。店舗フォーマットの多様化により、家電や衣料の大規模立地から都市部の小型店まで柔軟に出店できるため、他社撤退跡地の活用や地域ごとのニーズに応じた品揃えで市場シェア拡大を目指しています。
技術革新には強く投資しており、リテール向けの製品・サービスをもう一つの成長の柱としています。Skip CartなどのIoT機器は258店舗で導入され、導入台数は21,561台、月間ユーザーは約450万人に達しており、約1,217万人の会員と紐づいたID‑POSデータを活用した個別対応型の販促や実店舗のメディア化で効果検証を行っています。国内外のエンジニア組織で現場の声を素早く製品改良に結びつける体制を敷き、POSベンダー等との連携を通じてグループ外への展開と収益化を進めることで、サプライチェーンにある「ムダ・ムラ・ムリ」の削減と業界全体の効率化を図っていくことを目指しています。