LiberawareJP:218A

時価総額
¥253.4億
PER
-142.1倍
インフラ保守・点検向けのインフラDX事業の新興企業。屋内狭小空間点検ドローン「IBIS」と3次元化クラウド「LAPIS」を展開。2021年7月に関連会社を設立、JR東日本グループが出資。国内中心、マレーシア等で実証展開。

事業内容

Liberawareは、屋内の「狭く・暗く・危険な」場所でのインフラ点検をドローンとデータ解析で置き換える事業を展開しています。自社開発の小型屋内ドローン「IBIS」で人が入れない箇所の映像を取得し、3次元化クラウド「LAPIS」やAI解析で点検のデジタル化まで一気通貫で提供しています。

同社の主要顧客は製鉄業、鉄道、建設、製造、電力や官公庁など固定資産の多い事業者で、既存顧客からの継続受注が売上を支えています。点検ソリューションにおける継続顧客の売上比率は約59%で、機体の販売・レンタル、データ処理・解析、ソフトウェアのライセンス収入を組み合わせて収益を上げています。

同社は事業をドローン事業、デジタルツイン事業、ソリューション開発事業の三つの柱で運営しています。ドローン事業は現場での撮影とIBISの販売・レンタルを担い、デジタルツイン事業は映像やセンサデータを基にした3次元化や管理プラットフォーム(TRANCITY)の提供を行っています。ソリューション開発事業では顧客と共同で特殊環境向け機体や運用方法を開発し、実証や運用まで支援しています。

経営方針

同社はコアクライアント数を増やすことで持続的な売上拡大と利益成長を図ることを目指しています。主要顧客である製鉄業・鉄道・電力などの固定資産保有事業者への継続受注が収益の柱で、既存顧客による売上比率は約59%にのぼります。経営指標として売上高・粗利益率・研究開発費を重視し、KPIにはコアクライアント数とコアクライアント売上高を設定しています。市場環境も追い風で、ドローン市場は2030年に1兆195億円、製造業向けのDX市場は同年に約2.9兆円への拡大が見込まれており、これらを取り込むことで事業規模を拡大していく方針です。

重点投資分野はハード(屋内ドローン「IBIS」)とソフト(3次元化クラウド「LAPIS」や管理プラットフォーム)を一体化したソリューション開発で、ここに差別化の核を置いています。同社は狭く暗く危険な屋内空間というニッチ領域で現場の映像取得から3次元化、AI解析まで一貫提供することで、単なる機体販売ではなく運用とデータ利活用を含めた付加価値を提供しています。具体的施策としては、研究開発投資の継続、卓越したエンジニアの採用・育成、大学などとの産学連携や企業との共同研究を進め、情報管理面ではISMSを2022年9月に取得するなどデータガバナンスを強化しています。

新市場開拓では国内での業種横展開と海外展開を両輪で進めています。国内では下水道やプラントといった屋内・閉鎖環境でのユースケース創出を展示会やウェブマーケティングで促進し、サービスチャネルの拡充と中間事業者への浸透でコアクライアント以外の顧客獲得を狙います。海外では韓国を中心に進出を進め、東南アジア諸国の規制や現地ニーズに合わせた進出方法を検討・実行していきます。財務面では成長投資を優先する一方で手元流動性の確保や借入・増資など多様な資金調達手段を検討し、計画未達時のリスク管理も行う方針です。

技術革新への取り組みとしては、自律飛行による屋内ドローンの実用化を中長期目標に据えています。人が入りにくい狭小・暗所で安全に飛行できる機体技術、現場で使える自動化ソフト、そして取得データの3次元化やAI解析の精度向上に継続投資を行い、顧客ごとの特殊環境向け機体や運用方法も顧客と共同で開発・実証します。これらにより点検業務の標準化と再現性を高め、ソリューションとしての競争優位を確立していく計画です。