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学びエイドJP:184A
事業内容
学びエイドは教育デジタル事業を主軸に、映像授業と学習管理サービスを展開している企業です。同社の主力サービスは個人向けの「学びエイド」、学習塾向けの「学びエイドマスター/学びエイドマスターforSchool」、教育事業者向けの「学びエイドforEnterprise」や直営の学習塾で、主要3サービスで売上の大半を占めています。
主要な顧客は、学び直しや受験対策を求める個人、個人経営から全国展開の学習塾本部、教科書や参考書の出版社などの教育関連事業者です。収益は個人向けの定額会員料金、学習塾向けの初期導入費と月額利用料(基本料+生徒アカウント料)、企業向けの開発費やシステム利用料・動画利用料、さらに成果に応じたレベニューシェアなどで成り立っています。
各事業・製品ラインは役割が分かれており、個人向けは約5分のマイクロ講義を軸に無料会員と見放題の有料会員を提供しています。学びエイドマスターは塾運営を支える管理機能と映像授業を組み合わせ、forSchoolでは塾本部向けに指導スタイルに応じたカスタマイズ開発を行い、forEnterpriseでは紙媒体教材の映像化と配信システムの構築を手がけています。
同社の強みは「鉄人講師」と呼ぶ指導力の高い講師ネットワークと映像制作のノウハウで、豊富なコンテンツ(多数万コマ)を保有している点です。短時間で要点を学べる設計と塾運営の効率化機能により、学習効果と導入負担の両立を図っている点も差別化要因となっています。
経営方針
同社はまず業績の立て直しと持続的な成長の両立を目指しています。直近で教育デジタル事業の売上高成長率は2024年4月期で+25.4%から2025年4月期に△53.9%へ大きく厳化しており、学びエイドマスターの契約教室数も458校から423校へ減少しています。この状況を踏まえ、同社は売上高成長率と営業利益率を主要な経営指標に据え、顧客数と顧客単価の回復を通じてLTV(顧客生涯価値)の向上を図ることを明確な目標としています。
重点投資は良質な映像コンテンツとプロダクト開発に置かれています。具体的には「鉄人講師」と呼ばれる講師ネットワークと映像制作ノウハウの強化、教務知見と技術を融合する製品開発部の新設、そして小論文や志望理由書の添削サービスやテスト対策サービス(「小論文・志望理由書添削道場」「テツヨビ」など)の拡充により顧客単価の回復を狙います。現状の顧客単価は学びエイドマスターで約20万円/社、forSchoolで約1,122万円/社、forEnterpriseで約432万円/社(2025年4月期)となっており、同社はサブスクリプション型サービスの拡大でフロー収益からストック収益への転換を目指しています。
新市場開拓では教育機関向けだけでなく出版社や企業との連携を強め、二次利用やライセンス提供による法人向けストック収益の拡大を図っています。具体策として資本業務提携先を含む外部パートナーとの共同開発や販路共有を進め、学校向けのカスタマイズ案件や公教育分野への導入拡大を狙います。市場環境としては教育産業全体が約2兆8,000億円で横ばい推移する一方、デジタル教材市場は2025年に約2,500億円、EdTech市場は2027年に約3,625億円までの拡大が見込まれており、同社はこれらの成長領域で契約法人数や安定的な利用料を増やすことを目指しています。
技術革新の取り組みとしては、紙教材の映像化や配信サービスの強化、教材との連携機能や添削機能の実装を進めています。GIGAスクール構想やデジタル教科書の普及を受け、同社は映像とデータを組み合わせて個別学習の最適化を図るため、配信インフラや利用状況の分析基盤に投資しています。また、教育現場の知見を形式知としてプロダクトに落とし込むことで差別化を図り、技術投資を通じて「映像+管理機能+評価・改善」の一体型プラットフォーム化を目指しています。